Clouderaは11月7日、都内で開催したカンファレンスで、Microsoftとの協業によるクラウドを利用したビッグデータの分析や活用の現状を説明した。国内企業のユースケースが増えているとし、協業の拡大にも乗り出す。

11月6日に日本法人代表者取締役に就任した中村共喜氏
同社は6日、日本法人の代表取締役にAutoDeskやクエスト・ソフトウェアなどの代表取締役を務めた中村共喜氏が就任したことを発表。説明会の冒頭で中村氏は、「ビッグデータの企業活用が広まる中でClouderaの取り組みを日本に広げ、顧客企業のイノベーションに貢献したい」と所信を述べた。
アジア太平洋・日本担当バイスプレジデントのMark Micallef氏は、企業にとってビッグデータの活用が企業価値を高める有効な手段になり、同社が手掛けるHadoopのソリューションの企業採用が世界的に進んでいると強調した。特に金融や通信の大企業顧客の獲得に成功しているといい、直近の4年間でグローバル8000社の顧客が48%増加したと説明する。
Clouderaは、4月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。Hadoopディストリビューターとしての成長には、さらなる企業顧客の獲得が重要テーマの1つになっているようだ。同社はHadoopディストリビューションが稼働するためのクラウド基盤として、MicrosoftのAzureなどとの連携を図っているが、カンファレンスではドワンゴや、AzureでCloudera製品を利用する国内企業事例として、アデコやコマツ、サイバーズなどが紹介された。

2017年のユーザー表彰候補にノミネートされたドワンゴの事例
例えば、アデコでは求人と候補者のマッチングに利用することで、人材配置に要する時間を30%削減した。ドワンゴはデータ分析に導入。現場担当者への権限移譲とデータ管理の統制を両立させたとして、Clouderaはユーザー表彰の候補企業に選出している。
最高技術責任者(CTO)のAmr Awadallah氏は、ビッグデータの分析や活用が企業の意思決定に大きな影響を与えるようになったと解説。同社のビッグデータプラットフォーム「Cloudera Shared Data Experience」の事例の99%は、パターン認識、検知、予測のいずれかの目的に利用されているといい、パターン認識では顧客の理解促進や関係性の強化などに、検知ではサイバーセキュリティの検知あるいは不正行為の対策に、予測では予防保全や医療の高度化といったことに成果を挙げているとした。
さらにAwadallah氏は、2017年の戦略的製品として「Data Science Workbench」と「Altus Data Engineering」の2つ挙げた。Data Science WorkbenchはIaaS環境で利用可能なデータサイエンスプラットフォームで、Altus Data EngineeringはPaaS製品として提供される。Altus Data Engineeringについては、9月にMicrosoft Azureからのベータ版提供が発表された。Awadallah氏によれば、両製品におけるAzureへの全面的な対応を2018年末までに完了させる計画だという。
米Microsoft フィールドマーケティング戦略ワールドワイド クラウド&OSSビジネスリードを務める石坂誠氏は、同社ビジネスにおけるオープンソースの重要性が高まっていると話し、直近ではAzure上で稼働する仮想サーバの4割をLinuxが占める状況だとした。Clouderaとの協業は、Microsoftのオープンソース対応を推進する上で不可欠な施策の一環と同社の立場を説明している。

Azure上でClouderaを利用する日本企業の事例