マイクロソフト、HoloLens活用などデジタル変革の協業を拡大

國谷武史 (編集部)

2017-11-08 14:58

 日本マイクロソフトは11月8日、都内で開催した「Microsoft Tech Summit 2017」で混合現実(Mixed Reality:MR)技術などを活用する企業のデジタル変革に向けたパートナーシップの拡大を発表した。

 同社のMRにおける取り組みでは、2016年11月に専用デバイス「Microsoft HoloLens」を国内で発売し、2017年10月には「Mixed Reality パートナープログラム」も始動させた。

 このプログラムで新たに、初期パートナーの博報堂、wise、ネクストスケープに加え、博報堂プロダクツ、ハニカムラボ、ホロラボが参画を表明した。博報堂プロダクツは博報堂やwiseらと共同で建仁寺(京都市東山区)の「風神雷神図屏風」のMR活用などに取り組む。ハニカムラボはDMM.makeと共同でMRを使った仮想試着(バーチャルフィッティング)の開発を進めている。ホロラボは稲波脊椎・関節病院と共同で、CTスキャンデータから生成した3Dホログラムによる手術の訓練を手掛けている。

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「Mixed Reality パートナープログラム」の参加企業は6社となった

 デジタル変革に向けたユーザー企業との連携では、新たに三菱ふそうトラック・バスがMRなどの導入を発表した。同社は7月、社員や顧客、デバイス、トラック、工場をデジタル技術で接続することにより価値創造するという「Connected X」コンセプトを表明している。

 具体的な取り組みでは、2017年中にHoloLensを用いた車両の設計開発や保全のためのシステムを導入するほか、ヘルプデスクにMicrosoft Azureベースのチャットボットを導入して、社内から問い合わせの多い質問などに対して迅速に対応できるようにする。また10月1日から、予防保全や車両整備、配車などの最適化を図る「Azure IoT Hub」ベースの運行管理システム「Truckonnect」の提供している。

三菱ふそうトラック・バス
三菱ふそうトラック・バス 最高情報責任者のLutz Beck氏

 カンファレンスに登壇した三菱ふそうトラック・バス 最高情報責任者(CIO)のLutz Beck氏は、「自動車業界は大変革の波に直面しており、新規参入などの競合も増えている。当社は創業85年を迎え、あらゆるものを接続して付加価値を生むデジタルビジネスを推進していくために、テクノロジや組織体制、文化の変化に挑んでいる」とコメントした。

 また4月にマイクロソフトと協業した小柳建設は、HoloLensを使った建設現場の情報可視化・共有化のための「Holostruction」を初めて披露し、現場と遠隔地の担当者が資材や機材、完成予想図、現場図面など3Dホログラム画像や作業工程データを使って、作業前に打ち合わせを行う様子をデモンストレーションして見せた。

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小柳建設が開発する「Holostruction」と使った橋梁工事現場をイメージしたデモ

 MRでマイクロソフトと連携する日本航空は、新たに航空機製造メーカーAirbusとも連携する。同社から提供される航空機材のデータを利用して、MRによる操縦士や整備士の研修に活用するという。日本航空では、先行して実物のコックピットとエンジンの撮影画像から3Dホログラムを作成する取り組みをMicrosoftと行っている。

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JALはMicrosoftと3Dホログラム化などに取り組んでいるが、平野拓也社長からこの取り組みがAirbusにも広がることが明らかされた

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