Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏が米国時間11月12日、最新の「Linux 4.14」カーネルをひっそりとリリースした。しかし、このリリースは大きな注目を集めるはずだ。Linux開発者らは、4.14がLinuxカーネルの次の長期サポート(LTS)版になることを過去に発表している。このことは重要である。なぜなら、LTS版Linuxカーネルのサポート期間が6年間に延長されたからだ。そのため、IoTやスマートフォン、組み込み型Linuxデバイスの開発者は、それらのOSが2023年までサポートされるという安心感の下で機器を構築することができる。
さらに、新しいLinuxセキュリティ開発ツール群のおかげで、Linuxはかつてないほど安全になる、とTorvalds氏は考えている。同氏は、「『0-Day』ロボットの性能がさらに向上していることは指摘しておく価値があるだろう(これまでも非常に有益だったが、Fengguangがさらなる改善に取り組んでおり、複数の問題を発見したことを報告している)」と述べた。Torvalds氏がここで言及しているのは、Intelの0-Dayテストプロジェクトのことだ。
これをさらに多くのLinuxファジングテストと組み合わせることで、Linuxはかつてないほどセキュアになった。ファジングテストでは、ランダムなコードをLinuxに入力して、エラーを引き起こそうと試みる。このテストは、潜在的なセキュリティホールの発見に効果がある。
今回の新リリースには、アドレス空間識別子(ASID)のサポート、AMDの「EPYC」プロセッサのメモリ暗号化のサポート、Intelの5段階ページングのサポートも含まれる。これにより、最新のLinuxでは、仮想マシン(VM)向けのメモリ管理ページングのサポートが強化されている。具体的には、Microsoftの「Hyper-V」や「Xen」「KVM」といった仮想化プログラムはLinux 4.14で、これまでより効果的に動作する。
Torvalds氏によると、1500人以上のコントリビューターが今回のリリースに貢献したという。このリリースでは、「Raspberry Pi Zero W」などの開発者ボードのサポートも強化されている。
ヘテロジニアスなメモリ管理(HMM)もついにLinuxに搭載された。この機能は、GPUとCPUがプロセスの共有アドレススペースにアクセスすることを可能にする。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。