「Linux 4.14」カーネルがリリース--最新のLTS版

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2017-11-14 10:58

 Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏が米国時間11月12日、最新の「Linux 4.14」カーネルをひっそりとリリースした。しかし、このリリースは大きな注目を集めるはずだ。Linux開発者らは、4.14がLinuxカーネルの次の長期サポート(LTS)版になることを過去に発表している。このことは重要である。なぜなら、LTS版Linuxカーネルのサポート期間が6年間に延長されたからだ。そのため、IoTやスマートフォン、組み込み型Linuxデバイスの開発者は、それらのOSが2023年までサポートされるという安心感の下で機器を構築することができる。

 さらに、新しいLinuxセキュリティ開発ツール群のおかげで、Linuxはかつてないほど安全になる、とTorvalds氏は考えている。同氏は、「『0-Day』ロボットの性能がさらに向上していることは指摘しておく価値があるだろう(これまでも非常に有益だったが、Fengguangがさらなる改善に取り組んでおり、複数の問題を発見したことを報告している)」と述べた。Torvalds氏がここで言及しているのは、Intelの0-Dayテストプロジェクトのことだ。

 これをさらに多くのLinuxファジングテストと組み合わせることで、Linuxはかつてないほどセキュアになった。ファジングテストでは、ランダムなコードをLinuxに入力して、エラーを引き起こそうと試みる。このテストは、潜在的なセキュリティホールの発見に効果がある。

 今回の新リリースには、アドレス空間識別子(ASID)のサポート、AMDの「EPYC」プロセッサのメモリ暗号化のサポート、Intelの5段階ページングのサポートも含まれる。これにより、最新のLinuxでは、仮想マシン(VM)向けのメモリ管理ページングのサポートが強化されている。具体的には、Microsoftの「Hyper-V」や「Xen」「KVM」といった仮想化プログラムはLinux 4.14で、これまでより効果的に動作する。

 Torvalds氏によると、1500人以上のコントリビューターが今回のリリースに貢献したという。このリリースでは、「Raspberry Pi Zero W」などの開発者ボードのサポートも強化されている。

  ヘテロジニアスなメモリ管理(HMM)もついにLinuxに搭載された。この機能は、GPUとCPUがプロセスの共有アドレススペースにアクセスすることを可能にする。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]