Avayaの2017会計年度(2016年10月1日~2017年9月末)は激動の1年だった。2017年1月に米連邦破産法第11章(チャプター11)を申請後、同年6月にはネットワーク部門を売却。現在は事業の柱を「コンタクトセンター」「ユニファイドコミュニケーション(UC)」「サービス」に集約させ、再建を図っている。
「確かにチャプター11はAvayaにとって大変な局面だった。しかし、日本のお客さまは状況を冷静に受け止め、ビジネスを継続してくださった」と語るのは、日本アバイア代表取締役社長の和智英樹氏だ。チャプター11以降、自身も50社以上の顧客先を訪問し、説明をしたという。
「今後も日本アバイアの本丸であるコンタクトセンターに注力していく姿勢に変わりはない。そのうえで、コンタクトセンターのオムニチャネル化を強化し、多様化する(われわれのお客さまのお客さまである)コンシューマーのニーズに柔軟、かつ迅速に対応していきたい」と語る和智氏。今後、日本市場でどのような戦略を執るのか。先月、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催された「GITEX Technology Week 2017(GITEX)」で話を聞いた。
日本アバイア 代表取締役社長 和智英樹氏
LINEとの協業が示す意味
オムニチャネルの強化について和智氏は、「音声のコールセンターを核に日本市場のニーズに沿ったサービスを提供していく。ただし、(オムニチャネルとして提供する)サービスのすべてを独自で提供できるわけではない。重要なのはエコシステムだ」と説明する。
その代表例がLINEとの協業だ。日本アバイアは2016年11月、LINEとの提携を発表し、同社のコンタクトセンターソリューションで、LINEの法人向けカスタマーサポートサービスである「LINE Customer Connect」を提供すると発表した。さらに2017年2月には両社の連携を強化し、コンタクトセンターでLINEの無料通話機能を対応させることを明かにしている。
和智氏は「LINEとの連携は、日本市場で大きな意味を持つ」と語る。
「日本のコンタクトセンターで必要なオムニチャネルは、メッセージングやSNSだ。これらのチャネルはすでにサードパーティが手掛けており、世の中に広く浸透している。日本でLINEは圧倒的な認知度で多くのユーザーが活用している。(LINEを筆頭に)さまざまな企業と協業することで、Avayaのプラットフォームを核としたエコシステムを構築していきたい」(同氏)
GITEXのAvayaブースでは、LINEとの協業デモンストレーションが行われていた
Avayaはオムニチャネルを提供するためのスナップインとして、「Avaya Oceana」を提供している。これは、アプリ開発プラットフォーム「Avaya Breeze」上で稼働するアプリを相互連携させる機能を提供するものだ。
今後人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)など、新技術との連携が要求される中、顧客が求める機能(アプリ)を幅広く提供するためには、サードパーティを取り込んだエコシステムが重要になる。実際、GITEXでも、金融サービスソフトウェアを開発する英Avanza Solutionsやディープラーニング(深層学習)技術を提供する米Sundown AIとの連携ソリューションを展示していた。