Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間11月21日、3月に買収を表明したNimble Storageの事業統合を11月1日に完了したと発表した。これを受けて日本ヒューレット・パッカードが22日、国内におけるNimble Storageの新たな事業戦略を発表した。
Nimble Storageは、予測分析機能「InfoSight」を特徴とするフラッシュストレージソリューションを手掛ける。HPEは同社を現金10億ドルで買収し、InfoSightのサービスやストレージハードウェア製品群をHPEのストレージポートフォリオに加えた。今後はInfoSightを既存の「3PAR」製品シリーズにも適用するほか、キャッシュバックを伴う可用性保証サービスや従量課金型のストレージサービスを開始する。
買収の狙いについてハイブリッドIT製品統括本部長の本田昌和氏は、エンタープライズストレージ製品市場でSSD搭載を前提としたオールフラッシュ化による“第3の波”が到来していると説明する。“第1の波”は性能改善を目的にした限定的なSSDの採用、“第2の波”はSSDの低価格化による適用領域の拡大だという。
ストレージの“第3の波”では、(1)予測・予防型のソリューション、(2)クラウド対応、(3)将来性や可用性の永続的な保証――という3つのユーザー需要があるとし、HPEによるNimbleの買収はこれらの需要を満たすのが狙いだとした。具体的には、(1)への対応がInfoSight、(2)への対応がスケールアウト型製品群、(3)への対応が9000社以上の顧客で達成している99.999928%の可用性になる。
今回の買収に伴って日本法人のNimble Storage Japanは、日本ヒューレット・パッカードのNimble営業本部に再編された。日本法人からNimble営業本部技術部長に就任した川端真氏は、InfoSightについて、2010年の製品出荷開始から7年近くにわたって、ユーザーのストレージ利用に関するデータを収集・分析し、これをサポートや製品の品質向上に用いることで、99.999928%の可用性実績を達成したと説明した。
「InfoSight」の概要
川端氏によれば、ユーザーがストレージに保存するデータの情報は収集していない。現在のInfoSightは、1万2000社以上の約2万台のストレージアレイからハードウェアの稼働状況や消費リソース、ストレージ性能実績、仮想マシンの稼働状態といったデータを集める。これを分析した結果をサポートに利用して、トラブルの86%を自動解決できるようにしたほか、障害発生などの予兆検知やストレージ容量を拡張すべき具体的な時期のアドバイスといった将来予測を可能にしているという。
InfoSightは買収で「HPE InfoSight」に名称を変更し、2018年1月に新たなアドバイス機能を搭載するバージョンをNimble製品と3PAR製品のユーザー向けにリリースする。また将来的に、SimpliVityなど他のストレージ製品群やProLiantサーバへの適用も検討している。
「InfoSight」はユーザー1万2000社以上の実稼働データに基づく予測機能が特徴になるという
可用性保証サービスは、標準的な保守サービスの契約を条件として、計画外のNimble製品の年間ダウンタイムが31.536秒を超えた場合に1カ月分の保守サービス料金をキャッシュバックする。また、一部の既存製品で提供するストレージ利用容量などに基づく従量課金型サービスでは、2018年2月からNimbleを使用したメニューを加える。
販売の見通しについてストレージ製品担当マネージャーの諏訪英一郎氏は、「中規模企業以上だったフラッシュストレージのメインユーザー層を中小規模にも広げ、中小からデータセンターまでのストレージニーズをカバーできる」と強調している。なお、ハードウェア製品ラインアップは、一部の型番表記などを除いて変更はなく、オールフラッシュのAFシリーズ、SSD/HDDのCSシリーズ、ディザスタリカバリ向けSFシリーズを継続する。
ユーザー9000社での可用性実績は99.999928%で、年間の計画外ダウンタイムは約31.5秒以下という