オープンソース利用のパイオニアだったドイツのミュンヘン市が、「Windows」に回帰することを決定した。
「Windows 10」はミュンヘン市議会の約2万9000台のPCに導入される。10年以上もの間Linuxを使用してきた同市にとって、これは大きな変化だ。
導入は2020年に開始され、2022年末か2023年の前半に完了する。費用は約5000万ユーロとなっている。
ミュンヘン市はかつて、オープンソースソフトウェア利用の旗振り役だとみなされていた。2003年にシステムをLinuxベースのデスクトップ(後に「LiMux」と呼ばれるようになった)やその他のオープンソースソフトウェアに切り替えるという決断をした際には、オープンソース界から高い評価を受けた。
ミュンヘン市長Dieter Reiter氏は、Windows 10への移行はデスクトップの管理を容易にする上で必要だと述べている。同氏によれば、Windows 10に切り替えることによって、2つのデスクトップOSを並行運用する必要がなくなるという。ミュンヘン市は、長年にわたってLiMuxと少数のWindowsマシンの両方を併用してきた。Windowsマシンは、Linuxとは互換性がなく、仮想化できないアプリケーションのために継続利用されている。
Reiter市長は現地時間11月23日、市議会本会議で、「わが市はこれまでずっと混合システムを使用してきたが、ここには、単一のシステムに移行するという選択肢がある。2つのOSを使用するというのは、まったくの不経済だ」と述べた。市議会はWindowsへの移行を承認した。
Windowsを使用しているマシンの比率については意見に相違があり、一部の批判的な論者は最大で40%のPCがWindowsだとしているが、約20%だという者もいる。同市議会は2つのシステムを10年以上もの間併用し続けてきたが、この問題が注目され始めたのは最近のことだ。
Windowsへ回帰は、単にオフィスの机のスペースを空けるためではなく、ミュンヘン市のIT業務パフォーマンスに関する問題を解決するために必要だったとReiter市長は述べている。
「私はIT調達の専門家ではない。しかし私の意見は、現システムのパフォーマンスに満足していない6000人の同僚の意見に支えられている」(Reiter氏)