職員からは、断続的に発生するITの問題についての報告が市議会に上がっているものの、過去の調査では、Windowsと「Microsoft Office」に戻りたいと考えている職員は少数派だった。ただし、IT部門に対しては批判的な声が出ており、人事部門はオープンソースソフトウェアに移行して以来、クラッシュや印刷エラーによって生産性が「顕著に低下した」と述べている。
2016年にはAccentureとarfによってミュンヘン市のITに関する調査が実施されたが、その結果、同市ではソフトウェアのアップデートや不具合の修正に時間が掛かりすぎており、「ITシステムが時代遅れで、部分的には安全ではなく、多くの場合極めて扱いにくいものになっており、大きな時間の無駄と生産性の低下が起こっている」ことが判明している。ただし問題の原因とされているのは、オープンソフトウェア自体ではなく、同市が抱える20以上のIT部門が連携できていないことだった。
ミュンヘン市の緑の党でリーダーであるFlorian Roth氏は、オープンソースの利用が同市のITの問題を引き起こしたわけではないのに、なぜOSの切り替えに、市議会がそれほど多額の出費を行わなければならないのかと疑問の声を上げた。
同氏は「ITの改善が絶対に必要だということには同意する。しかし、Microsoftへの完全な回帰という高コストなモデルと、それに伴う経済的負担が適切かどうかは、議論の余地がある」と述べている。
同市議会は、Windowsへの移行以外に、試験的に6000シート分の「Microsoft Office 2016」を導入し、仮想マシン上で試用することにも同意した。
試用の結果については2018年末の市議会で議論し、オープンソースのOfficeスイートである「LibreOffice」をMicrosoft Officeに切り替えるかどうかを判断する。Microsoft Officeへの移行が承認された場合、移行は2021年に開始され、2023年末までに完了する予定だ。
また同市は、Windows 10への移行とOffice 2016の試用を行うのと同時並行で、IT部門の構造改革を進めるほか、仮想化の利用を組織全体に拡大していくという。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。