不景気に悩むイタリアの地方自治体が共通して意識していることがあるとすれば、支出の削減だろう。この目標達成にあたって多くの市町村が選んでいるのが、Microsoftを捨ててオープンソースへと移行する方法だ。
Microsoftからオープンソースに移行する多くの市町村に加わるのが、イタリア北東部部にあるウーディネ市だ。人口10万人の同市は先に、2014年末までに市が所有する900台のコンピュータで「OpenOffice」をデフォルトの生産性スイートにする数年計画の移行プロセスを開始すると発表した。
OpenOffice採用により、ウーディネ市はソフトウェアライセンスコストとしてコンピュータ1台あたり約400ユーロを削減できると述べている。削減金額は合計で36万ユーロを見込む。マイグレーションは80台の新しいコンピュータから開始するが、2014年度予算によると2014年12月までに購入することになっている。
その後、「Microsoft Office」がインストールされた古いPCを段階的にOpen Officeに変えていく。
コストの削減は重要だが、それだけではない。定期的なソフトウェアアップデートも大きな狙いだ。
「われわれのPCの中には、『Office 2000』のような古いソフトウェアをいまだに使い続けているものがある。Office 2000などはすでにサポートが終了しているが、アップデートする資金がない」とウーディネ市のイノベーションおよび経済開発担当議員、Gabriele Giacomini氏は説明する。
「オープンソースに移行することで、スタッフは最新版のスイートで作業ができるようになる」とGiacomini氏。
プロジェクト完了がいつになるのかは未定だが、市ではトレーニングコースを設定しており、2015年には内容がより高度になる。ウーディネ市は2015年、OSのLinuxをはじめ、すべてのソフトウェアがオープンソースのマシンを実験導入する計画だ。
ウーディネ市で最高情報責任者(CIO)を務めるAntonio Scaramuzzi氏はZDNetに対し、「以前にも試みたが、Linuxでは動かないプロプライエタリのアプリケーションがたくさんあったために実現できなかった。現在、オールオープンソースはかなり現実的になっており、われわれは今後さらにオープンソースの方向性を強めることになるだろう」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。