最近ロンドンで開催された「Adobe CX Forum」でのLopes氏の講演は、データとコミュニケーションに焦点を当てたもので、同社は顧客関係管理によって売上高を37%伸ばしたという。Virgin Holidaysはこのアプローチによって、顧客体験の改善に繋がるオムニチャネルエンゲージメントの仕組みを開発した。
「特に家族がいる場合、休暇の計画は負担が大きい」とLopes氏は述べている。同氏のチームは顧客のデータを分析して、休暇について意識させるために顧客に送信しているメッセージを徹底的に見直した。「われわれは、適切なタイミングで適切な情報を提供することで、顧客の負担を軽減できることに気づいた」
同社は「Adobe Campaign」を利用することで、依存していた2000の変数を持つ44のデータテーブルを、7テーブル、200変数にまで削減した。同社は重要な分野に狙いを絞り、さまざまなテクニックを使って体験を改善している。これには、お祝いメールの予約、ホリデイカウントダウン、査証やシートの予約に関する情報の分かりやすい提示などの施策が含まれる。
「解決しようとする顧客の問題について考え、テクノロジを使ってソリューションを生み出すことだ」とLopes氏は述べている。「当社が目を付けたのは、顧客関係情報を1つのプラットフォームに統合することで、ビジネスをデータの観点から変革することだった。これはチームで上げた成果だ」
3.サービスの改善と利益のバランスを取る
Auto Traderの商用プラットフォームおよび業務担当ディレクターLara Izlan氏は、同社が収集しているデータを活かして、顧客の自動車購入のプロセスを支えている。Izlan氏と同氏のチームは、「Adobe Audience Manager」を導入して情報を集約し、標的型広告キャンペーンの体制を整えた。
Auto Traderはこの技術を使って、自動車購入プロセスの各段階を分析し、個人が購入行動を取る際の傾向についての情報をメーカーに提供している。同社は、消費者が購入する自動車について調べる段階から購入の段階に至るまで、ステージに応じて広告を提供している。Izlan氏は情報から知見を得ようとしているITリーダーに対して、すべての関係者が満足できるように注意する必要があると述べている。
「十分に注意しないと、データにのめり込みすぎてしまい、顧客を絞り込みすぎてしまう場合があるが、これはユーザー体験の向上には繋がらない」と同氏は述べている。
「われわれは適切にバランスを取ることを心がけている。サービスを提供する際には、ユーザーがやろうとしていることに応じて興味を引く情報を示すとともに、用いているアプローチがマーケティング予算の面からも効率的になるようにしている」(Izlan氏)
技術を使った改善方法は、ほかにも検討されている。例えばIzlan氏は、機械学習によって、広告の絞り込みアルゴリズムを自動的に改善できるかもしれないと述べている。Izlan氏によれば、Auto Traderは機動的なビジネスを目指しており、ITやデータのプロフェッショナルが、高度なテクノロジや情報を使って実験を行いやすい環境にあるとという。
「われわれは、より多くのデータを取り込むために、ほかの組織とのパートナーシップを検討している」と同氏は言う。「これには、ほかのメディア企業や自動車メーカーからの情報も含まれる。それらの情報はすべて、カスタマージャーニーをより詳しく理解するのに役立つだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。