最高データ責任者(CDO)の影響力が大企業内でますます高まり、データやアナリティクスを担当するトップとして、企業のデジタル変革に対するより大きな責任を担うようになってきている。
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GartnerはCDOや、最高アナリティクス責任者(CAO)など、データやアナリティクスに関するプロジェクトに責任を持つ企業幹部287人を対象に調査を実施した。同社によると、これら幹部の責任はもともと、データガバナンスや、データの品質、規制順守が中心だったものの、現在のCDOは売上高の増大を目指すことも要求されているという。
回答者の10人に9人近くは、「自社におけるデータ戦略やアナリティクス戦略の立案」が最優先の責任だとしている一方、CDOの権限はデータ管理やアナリティクス、データ科学、倫理からデジタル変革に至るまでさまざまとなっている。
Gartnerによると、現在ではCDOの半数以上が最高経営責任者(CEO)や最高執行責任者(COO)、最高財務責任者(CFO)といった企業幹部の直属となっており、2021年までには大企業4社のうち3社で、CDOオフィスが「IT部門や業務部門、人事部門、財務部門に匹敵する」ようなミッションクリティカルな役割を担うと見なされるようになるという。
Gartnerの調査対象となった組織の半数近く(47%)は、「CDOオフィス」を公式に、あるいは非公式に設置しているという。2016年に調査した際、この割合は23%だった。
GartnerのリサーチディレクターであるMichael Moran氏は「増大する責任を担う新たな人材の追加や、増えていく予算、企業幹部らの積極的な取り組みの増加を見れば、CDOの役割が企業のなかでますます重要視されるようになってきているのが分かる」と述べている。
CDOはデジタルビジネスビジョンのモデル作成を支援する役割とともに、ビジネス戦略を構築するうえで必要となる、社外の機会と脅威を評価するという役割を担うようになっている。回答者の4分の3は、新たな道で競合していくために、データおよびアナリティクスのソリューションを構築していると述べている。
CDOの平均予算は800万ドル(約9億800万円)であり、これは2016年の650万ドル(約7億3800万円)に比べて23%増となっている。また、予算が2000万ドル(約23億円)を超えるとした回答者の割合は2016年に7%だったが、2017年には15%に増えている。さらに、チームの規模は2016年に38人(直属とそうでないものを含む)だったが、2017年には54人へと増加している。