シンガポールを拠点に活動しているハードウェアハッカーのAndrew "bunnie" Huang氏は、そのようには考えていない。
Huang氏は同カンファレンスで、「残念なことに、今回の脆弱性に関して言えば、洗い出しに必要な情報は、実際には公開されていたものばかりだったと考えている。われわれは皆、投機的実行が起こっているという事実を知っている。またわれわれは皆、タイミングを利用するという(攻撃に結びつけられる)サイドチャネルの存在を知っている」と語った。
同氏は、「私のお気に入りの名言の1つに、メモリはオーガズムのようなものだという、(メインフレームコンピュータのパイオニアである)Seymour Cray氏の言葉がある。フェイク(芝居)せずに済むのであれば、それに越したことはない。しかしパフォーマンス(演技)を生み出そうとするたびに毎回、サイドチャネルでのタイミング攻撃を許す隙が生み出される」と続けた。
とは言うものの、Huang氏はオープンハードウェアという考え方が、その他の種類の脆弱性を見つけ出すうえで役立つかもしれないと考えている。
「まだ発見されていないものの、ハードウェアを悪用する手段は大量に存在し、それらはいつ発覚してもおかしくない(中略)こういった未知の脆弱性すべてはプロセッサの中に存在しているため、発見できるようになり、レビューした結果、『なんてこったい、これは本当に恐ろしい』と感じるようなものも出てくるだろう」(Huang氏)
Cook氏によると、MeltdownとSpectreによって、被害妄想的な観点に立って注意を払っていくべきだという点が浮き彫りにされているという。
Cook氏は「われわれは、サイドチャネルでのタイミング攻撃の存在を昔から知っていたものの、それを使った実践的な攻撃手法の存在については考えてもいなかった」と述べ、「そう、私は現実的な攻撃を考え出せるほど賢くないのかもしれない。しかし、それでもそういった攻撃手法が存在しているのは間違いない。誰か他の人間なら見つけ出すかもしれないのだ」と続けた。
ここでの問題はもちろん、エンドユーザーがパフォーマンスの向上を求め続けるという点にある。
Huang氏は、「その要求をできるだけ速く満足させるための軍拡競争が繰り広げられており、それらのデバイス上で優れたパフォーマンスを実現するために用いられているものに攻撃の矛先が向けられた」と述べた。