日本マイクロソフトは2018年1月25日、IoTの最前線を学ぶイベント「IoT in Action」を都内で開催した。記者向けラウンドテーブルでは、同社のIoTビジネスに対する取り組みと、3年目を迎えるIoTビジネス共創ラボの進捗状況について詳しい説明を行ったので、その内容を本誌読者に紹介する。
AzureでIoTビジネスを支える日本MS
Industrie 4.0と共に注目を集めているのが、マルチベンダー製品間や、異なるOS間でデータ交換を可能にする産業通信用データ交換標準「OPC UA(OPC Unified Architecture)」だ。Windowsで使われていたOLEを基盤に産業オートメーション標準規格まで成長したOPC UAについて日本マイクロソフトは、「Industrie 4.0のRAM4.0に採用されたOPC UAデバイスと連携可能にするため、業界の標準化団体と密接な活動を続けている」(日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長 菖蒲谷雄氏)。
例えば国内では流通業におけるユーザー企業とITベンダー企業の協業による IT技術の標準化推進を活動目的したSRF(Smarter Retailing Forum: スマーター リテイリング フォーラム)とともに、標準技術策定活動を実施するOPOS技術協議会や.NET流通システム協議会を中心に各分科会で活動を続けてきた。
日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長 菖蒲谷雄氏
2004年に設立したSRFや2016年設立のIoTビジネス共創フォーラムなど、長期かつ多角的な活動を続けてきた日本マイクロソフトでは、IoTビジネスに関する多くの事例を保持する。例えば「スマートコントラクション」を推進する小松製作所は、グローバル展開が可能でサポート地域が多いMicrosoft Azureを採用。同社は東日本リージョンおよび西日本リージョンの2拠点で災害対策構成が可能な点も評価ポイントに挙げている。
三菱ふそうトラック・バスはデジタルトランスフォーメーションを推進する「Connected X」構想を立ち上げ、AIを活用したチャットボットの導入や運行管理システム「Truckonnect(トラックコネクト)」の提供、Microsoft HoloLensを活用した開発や保守を可能にした。
IoTビジネスの基盤となるAzure IoTでは、遠隔保守や予兆保全などいくつかのIoTシナリオ向けにまとめたPaaSソリューション「Azure IoT Suite」、よりSaaS的アプローチでIT専任者を用意できない企業でもIoTの利点を享受できる「Microsoft IoT Central」、土地開発現場や船上など、クラウド上の情報をローカルに大規模かつ迅速な展開が求められる場面でエッジ側の処理軽減などを行う「Azure IoT Edge」を用意。
なお、後者の2機能については現在プレビュー版を提供している。また、Microsoft Azureとの接続認証が完了済みであることを認定する「Microsoft Azure Certified for IoTプログラム」は、2018年1月現在、グローバルで960デバイスを超えた。日本マイクロソフトは、「(同プログラムはIoTビジネスの)出発点だ。例えば、どのゲートウェイを購入すればいいかひと目で把握し、ビジネスを始める上で安心感を提供できる。今後は2倍を目標に認定デバイスの数を増やしたい」(菖蒲谷氏)。