2017年、「WannaCry」や「NotPetya」「Bad Rabbit」などが大きな注目を集め、ランサムウェアは悪名高い存在になった。WannaCryとNotPetyaは国家が関与したとみられており(前者は北朝鮮、後者はロシアの関与が指摘されている)、ランサムウェアに対する印象は、手っ取り早くお金を稼ごうとするサイバー犯罪者が使用するものから、サイバー戦争のツールへと変化した。
NotPetyaでは、それが特に浮き彫りになった。NotPetya攻撃は、世界中の企業のネットワークを停止させ、数十億ドル規模の損害と逸失利益を引き起こした。
一部のサイバー犯罪組織の利益獲得手段が仮想通貨マイニングに傾きつつあるとはいえ、今後、ランサムウェアの効果や破壊力が弱まると考えてはいけない。
セキュリティ企業CrowdStrikeのインテリジェンス担当バイスプレジデントのAdam Meyers氏は米ZDNetに対し、「われわれは、ランサムウェアのトレンドが2018年に停滞期に入るとは考えていない。企業を狙うランサムウェアは敵対する国家や犯罪者にとって、今後も主要なトレンドであり続けるだろう」と述べた。
同社が新たに発表した「2018 Global Threat Report」(2018年世界脅威報告書)では、ランサムウェアは徐々に姿を消していくどころか、サイバー戦争のツールとして、さらに重要性を増す可能性もあることが示唆されている。WannaCryなどのランサムウェアが大規模な損害を引き起こす能力を実証したことを考えると、特にその可能性は高いという。
サイバー脅威をめぐる環境は進化し続けるので、この種の破壊的なランサムウェアがほかの国家や犯罪組織によって採用される可能性は非常に高い。
破壊的なランサムウェア攻撃が成功したことで、分け前にあずかりたい小規模国家、さらにはハッキング部門を持つ活動家組織などによって、その手法が悪用される可能性が考えられる。
WannaCry登場前もランサムウェアは脅威だったが、WannaCryは「EternalBlue」脆弱性を悪用することができたので、それまでのランサムウェアよりはるかに強力だった、ということに注意する必要がある。WannaCryは、ほかのマルウェアが同じ手法を採用する道を開いた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。