過去類似案件を調べて見積額を決める
入札に参加する目的を「売上拡大」としたときに、やはり「落札」をすることがもっとも重要なステップとなる。自社が落札できる可能性のある案件情報を取得した後は、落札できる見積金額を算出する必要がある。しかし、官公庁や地方自治体との取引における価格相場は、民間企業のそれとは異なることがある。すなわち、入札には入札の価格相場があり、その相場を掴むことが非常に重要なのだ。そして、相場をつかむ唯一の手段は、「過去類似案件の落札額を参考とすること」である。図表2はそのイメージ図である。
図表2
図表3
図表3は入札情報速報サービスNJSSにて「開発評価管制支援処理システムハードウェア保守」という案件を探したところ、国土交通省から年度違いの同一名称の案件を発見することができた。
枠部分を見ると、平成28年度及び平成29年度の当案件は1200万円前後で落札されている。恐らく平成30年度も、仕様が変わっていなければ同程度の金額での落札が予測される。これらの情報を活用し、予想落札額よりも少し下げた額で見積書を作成すれば落札の可能性が高まるだろう。一方、この予測落札額が利益を確保できない額なら、この案件に手を出さないという判断もできる。ただし、案件名称がほぼ同じでも仕様が全く同じである保証はない。このあたりは注意が必要だ。
入札とは情報合戦であり、「情報を制すものが入札を制す」と言っても過言ではない。今まで入札に取り組んでいなかった企業は、自社にマッチする入札案件情報や落札情報を取得しつつ、経営戦略の一環に入札を取り入れてみてはどうだろうか。
- 小林伸輔
- 株式会社うるる 取締役
- 1980年 北海道札幌市生まれ。上場会社にてトップセールスを獲得した後、2007年 株式会社うるるに参画。「入札情報速報サービス NJSS」の立ち上げや事業拡大を担った後、現在は当社の人事・広報管掌を担う。学生向けに営業講習会を手掛けるなど、若手育成にも力を入れている。