IDC Japanは3月6日、国内ユーザー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する取り組み状況を調査し、成熟度を分析した結果を発表した。
これによると、国内企業の約4割が「ステージ3(標準基盤化:DXに向けた取り組みは企業戦略と連携しているが短期的)」の成熟度にあることがわかった。DXに取り組む企業は多いものの、その取り組みは短期的で、従来のビジネスの効率化が中心であるとみられるという。
IDCでは、DXを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新たな製品やサービス、ビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義する。本調査では、こうしたデジタル技術活用による企業のビジネス変革の可能性について、リーダーシップ変革、オムニエクスペリエンス変革、ワークソース変革、運用モデル変革、情報変革の5つの側面から調査した。
国内ITユーザー企業のDXに対する取り組みの成熟度の評価は、IDCが開発したIT環境の導入状況を客観的に評価するための手法「IDC MaturityScape」に基いて行われた。特定のIT環境についてまったく導入していない場合を「ステージ0(未導入)」とし、導入後のユーザー企業の成熟度を「ステージ1(個人依存)」、「ステージ2(限定的導入)」、「ステージ3(標準基盤化)」、「ステージ4(定量的管理)」、「ステージ5(継続的革新)」の5段階で評価している。
その結果、国内企業のDXの成熟度は、「ステージ1」が3.6%、「ステージ2」が17.9%、「ステージ3」が42.6%、「ステージ4」が30.3%、「ステージ5」が5.6%となった。評価尺度別に分析すると、5つの側面のすべてで「ステージ3」の企業が最も多いという結果になった。前年の調査結果と比べ、成熟度に大きな進展はみられず、革新的な製品やサービスを連続的に創出し、市場に変革をもたらすレベルの企業は限られていることが分かるという。
調査結果を受けてIDCでは、国内のDX成熟度は足踏み状態にあり、企業は組織の壁を超えた横断的かつ持続的な変革を推進できるDX人材の発掘や育成、確保を進め、DX人材が活躍できる環境を整備すべきだとしている。