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現場主導のシステム開発で業務課題を解決--「kintone」が非IT系を狙うワケ - (page 2)

柳谷智宣

2018-04-03 07:00

業務リーダーが自分で問題を解決するためのツールを作成できる

 システム開発のできるエンジニアではなく、コードを書けないビジネスパーソンが、業務で利用するアプリを作成できるkintone。そのコンセプトやユーザー像などを、サイボウズ kintoneプロダクトマネージャー 伊佐政隆氏に聞いた。

 そもそも、kintoneは製品紹介や広告などでローコード/ノーコードという言葉を一切使っていない。実際、ノーコードで業務システムを作れるのにどうしてだろうか。

 「kintoneはシステム開発の経験が全くない人でも、自分たちに必要な働く環境を作ることができるプラットフォームです。業務リーダーと呼ばれる人たちが、直面している問題を自分たちで解決できるのが特徴です。ローコード/ノーコードと言って伝わるのは、システム開発に携わっている人たちで、業務リーダーには伝わりにくいと考えています」(伊佐氏)

 ローコード/ノーコードプラットフォームと言っても、複数のクラウドサービスをAPIで橋渡しするものから、システム開発者が生産性を高めて作業時間を短縮するために利用するものまでさまざまなタイプがある。kintoneはその中で、アプリをゼロから作れるものの、システム開発の知識なしで構築できるのがユニークなのだ。一言で言えば、システム開発のプロ向けではなく、アマチュア向けというわけだ。

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サイボウズ kintoneプロダクトマネージャー 伊佐政隆氏

 kintoneは2011年末に発売された。この類を見ないプラットフォームはどのようにして生まれたのだろうか。

 「サイボウズはグループウェアを20年間提供していて、お客さんの会社が変わるところをたくさん見てきました。しかし、より多くのチームにサービスを届けようとしたときに、どうしてもカスタマイズという話が出てきます。従来、カスタマイズというのはくせ者で、カスタマイズするとシステムバージョンアップに付いていけないといったことがよくありました。そこで、カスタマイズをよしとする環境を作ることができたら、お客さんが自分らしいグループウェアを作れるのではないかと考えました」(伊佐氏)

 アプリケーションが決まっている従来のグループウェアでは、文化の異なるところへのグローバル展開が難しいと考えたという。サイボウズは、「サイボウズ Office」や「サイボウズ ガルーン」といった企業向けのアプリケーション型グループウェアを提供しているが、さらに多くのユーザーに広げるにはプラットフォーム型が最適だと判断したそうだ。

 サイボウズは、2002年に「サイボウズ デヂエ」を発売している。ウェブ上にデータベースツールを作成して情報を共有する製品で、新しく考えるグループウェアにコンセプト的には近かったという。そこで、デヂエをもとにグループウェアに昇華させたのがkintoneなのだ。

 なぜ、システム開発経験のない業務リーダーをターゲットにしたのだろうか。

 「業務リーダーを対象にしたのは、グループウェアは使う目的が大事だからです。このツール使いましょう、と何となく導入することからは何も始まらないのです。解決したい問題を抱えた人が、自分自身で問題解決のアプリ作成に取り組んでいく、というのが一番大事だと思っています」(伊佐氏)

 IT業界の中では、ローコード/ノーコードプラットフォームで短時間にアプリを作成する場合、膨大なコストと時間を掛けてスクラッチで開発したシステムと比べると見劣りするという意見がある。それについては、「kintone視点では、システムを作ることをゴールにしていません。問題を解決することをゴールにしています」と伊佐氏。

 「問題の解決を目指すのなら、複雑なものを作る必要はありません。現場の方が実際に活用してくれないと、どんなに素晴らしいテクノロジやツールであっても、何も変わりません。現場の人が主体的にシステムを作るところに関与すると、よりゴールに近づきやすくなるという考えなのです」(伊佐氏)

 システム開発経験のない人に使ってもらえるように、kintoneの画面設計や内部的なテーブル定義の仕方にはこだわっているという。特に、kintoneのアプリはデータベースの構成を後から変えられるのがユニークな点である。もちろん、システム開発の専門家が、最初から考え抜いてデータベースを構築するのもありだ。しかし、kintoneのアプローチは異なり、周囲の人を巻き込みながら現場で作り込んでいく場合、後からデータベースも気軽に直せる方が入り口が広くなると考えているのだ。

 「その代わり、アプリを活用し始めると、後で複雑なことをやりたくなることは分かっていました。そこで当初からAPIを用意して、サードパーティーの連携サービスや機能拡張のプラグインがたくさん出てくるような環境整備も平行して行っていました」(伊佐氏)

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スタンダードプランではプラグインを利用でき、BoxやSansanをはじめ多数のサービスと連携することができる

 最後に、今後のkintoneについて聞いた。

 「将来、チームで働く中で問題に直面したとき、使うかどうかは別にしても、当たり前のようにkintoneという選択肢が存在するような位置付けに持って行きたいです」(伊佐氏)

 現在、kintoneを導入する企業は7500社を超え、毎月200~300社というペースで増加し続けている。サイボウズ側からは、ローコード/ノーコードという発信はしないと思われるが、今後このカテゴリが盛り上がってくると名前を見かけることが増えてくることは間違いなさそうだ。

柳谷智宣(やなぎやとものり)
ITライター
https://peraichi.com/landing_pages/view/yanagiya

1972年生まれ。1998年からIT・ビジネスカテゴリのライターとして、さまざまな雑誌、書籍、ウェブ媒体で執筆している。近年は、クラウドサービスやスタートアップ関連の動向を注視しており、多数の企業に取材、実際にプロダクトに触れることも多い。飲食店も経営しており、「原価BAR」を都内4店舗、「花円(KAEN)」をウランバートルにて展開中。著書に『銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ』『Twitter Perfect GuideBook 改訂版』『クラウドの達人はなぜChromeを使うのか』『Dropbox WORKING』など。

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