顧客が古い料金体系を利用し続けることはできる?SAPによれば、顧客は、現在の料金体系を維持するか、ドキュメントベースの料金体系に移行するかを選択できる。料金体系を変更するかどうかを検討するには、間接アクセスと直接アクセスの状況を分析する必要があるだろう。顧客によっては、新料金に移行することで、間接アクセスを増やしながら、直接アクセスのライセンス費用を削減できる可能性がある。SAPに支払われる料金は、顧客企業のアーキテクチャと、SalesforceやWorkday、Oracleなどのサードパーティーシステムが、どのようにSAPのERPプラットフォームに接続するかに依存する。また、IoTなどの分野が成熟することでも、料金が変わってくる可能性がある。
ライセンスの監査・コンプライアンス確認は簡単になる?SAPはライセンスの利用状況に対する可視性を改善するとしており、理屈の上では、ソフトウェア監査の際の面倒は今後なくなる可能性がある。もちろん、本当にそうなるかは疑問だ。ただし、SAPはライセンスの営業部門と、ライセンスの監査・コンプライアンスを担当する部門を分離するとも述べている。今後、これらについてのSAPとの交渉は、別々に行われる可能性もある。同じグループの中で営業チームと監査チームが連携して活動するようになるとすれば、営業担当者が監査は自分の担当ではないと言うこともできるようになるだろう。
新しい料金体系の導入時期は?SAPが新料金の広報を始めたのは2018年4月になってからのことで、顧客に新たな料金体系についての情報を提供しながら、交渉を進めていくとみられる。
SAPの顧客は、この動きをどう評価すべき?SAPは、間接アクセスに関する顧客の不満を解消したいという態度を示している。McDermott氏は、SAPは顧客の考えに共感し、信頼を構築する必要があると、2年続けて発言している。今回の料金体系の変更は、そうした取り組みの最初の一歩だ。SAPは今回の料金改定にあたって、ユーザーグループと一緒に作業を進めてきており、準備段階でさまざまな業界関係者に対する説明も行っている。例えば、DiginomicaのDennis Howlett氏は料金改定の背景について長い記事を書いているし、DealArchitectのVinnie Mirchandani氏や、Constellation ResearchのRay Wang氏もSAPからの説明を受けている。ASUGやSUGENなどのユーザーグループも関与している。
現時点で不明な点は?個々の企業の具体的な状況によっては、問題が出てくる可能性がある。SAPの説明文書によれば、すべてのアクセス対象のドキュメントが同じ重みで課金されるわけではない。同社は次のように説明している。
SAPはドキュメントを9種類に分類した。これらは、一般にビジネスの成果として評価されることが多い、デジタルコアが生成するレコードを代表するものだ。間接アクセス/デジタルアクセスを介したデジタルコアの利用は、それらの9種類のドキュメントタイプに対してライセンスされ、ほかのドキュメントタイプには課金されない。
SAPの今回の発表は、同社の料金改革の最初の一手だ。これ以上の詳細については、今後の発表を待つ必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。