日本MS、パブリックセクター部門を刷新--元SAP佐藤氏が本部長に就任 - (page 2)

阿久津良和

2018-04-19 07:30

 1985年からIT業界に参加し、2005年からの12年間はSAPで各業務に当たってきた佐藤氏だが、日本マイクロソフトに合流した理由として「SAP時代から、さらなる社会貢献を思い巡らしてきたが、平野氏の『Microsoftは自分が描いていたものをすべて持っている』という言葉に感銘を受けた」(佐藤氏)と説明する。

 Microsoftが持つコグニティブ(認識)や自動翻訳、AI(人工知能)など多岐にわたる技術は、幼年期から高齢期まですべてのシーンに適用可能だ。パブリックセクター部門の事業領域は人の始まりから、最後に至るまで関係するからこそ、日本マイクロソフトは、「われわれが社会に対して何をすべきか(考え、実践する)使命を担っている」(佐藤氏)と同部門の存在意義を強調する。


日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤知成氏

 既に日本マイクロソフトは電子母子健康手帳や、「Imagine Cup」を通じた学生のグローバル人材育成、富山大学、三協立山、富山市と共同で高齢者交流コミュニティを実現してきた。同社はさらなる社会貢献として、いじめ情報共有クラウドやAIを用いた英語学習システム、行政のつなぎ目のないワンストップサービス、高齢者向けICT就労支援の実施を予定している。

 さらにグローバルに目を向けると、Conversation as a Serviceを活用して、シンガポール政府と共に市民や企業と相互作用的対応を実現する自動応答サービスの実証実験を開始し、メキシコ・プエブラ州とは個人情報を含む重要情報をパブリッククラウドで使用する住民ポータルサービスを提供してきた。佐藤氏はこれらの各国で得た経験や技術を日本社会に可能な範囲で適用し、社会変革に用いていくという。

 また、日本マイクロソフトはデザインジャパン推進室を新設し、2018年5月から顧客に対してデザインシンキングアプローチを開始する。デザインシンキング(デザイン思考)は1960年代以前に登場し、1990年代になると、スタンフォード大学のカリキュラムに大きく影響を与えた思考の1つ。ユーザーの欲求に基づく試作品を具体的に実装・展開する方法論だが、佐藤氏が2018年2月に米国本社を訪れた際に、「米国では(デザインシンキングは)当たり前の世界。日本でも推進すべき」(佐藤氏)と助言されたという。

 日本マイクロソフトはパブリックセクター部門の約100人にデザインシンキングのトレーニングを実施し、「営業やサービス、マーケティング、エバンジェリストなど幅広い専門家の統合と、グローバルの知見を用いて(デジタル変革の文脈から)顧客に対する継ぎ目のないプロセスを提供する」(佐藤氏)。具体的な施策としては品川本社26階にアイディアを創出する専門ルームを本日から設置し、共創人材の派遣や、コンサルティングサービスによる価値創造を目指す。

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