サプライチェーン計画は企業の規模が大きくなり、グローバル展開が進むと複雑になる。部門や機能ごとにプロセスがサイロ化され、効率化が得にくくなることが多いが、カナダのKinaxisはここでシングルプラットフォームによる可視化を提案する。
既にトヨタ自動車などの顧客を持つ同社だが、2018年は日本市場を強化するという。Kinaxisの最高売上責任者(CRO)、Paul Carreiro氏にサプライチェーンの課題、Kinaxisの強みなどについて話を聞いた。
Kinaxisの最高売上責任者(CRO)、Paul Carreiro氏と日本法人で社長を務める金子敏也氏(右)
--代表製品である「RapidResponse」について教えてください。
我々は創業28年のベンダーで、サプライチェーンマネジメントに特化したソフトウェアを開発してきた。その間社名も変わったが(1984年にCadence Computerとして創業、その後数回名称を変更し、最終的には2005年にWebplanからKinaxisとなった)、進化の過程でどの方向に進むのかを検討した。最終的に、広く、深いサプライチェーンを提供することにした。
その結果誕生したのがRapidResponseで、サプライチェーンのエンドツーエンドの可視化を得られるソリューションとなる。サプライチェーン関連システムからデータを吸い上げ、シングルデータベース・シングルプラットフォームで回す。需要が変わるとすぐにMRP(資材所要量計画)が裏で動き、生産計画にどのようなインパクトがあるのかが即座に分かる。企業にとってサプライチェーンを効率良く管理するのかがかつてないほど重要になっており、取締役レベルからも高い関心を得ている。
特徴は大きく2つある。1つ目が、同時並列での処理(”コンカレントプランニング”)だ。需要と供給を見るときに複数の画面を見なければならなかったが、自社のサプライチェーンのすべての面を可視化できる。これまで実現できなかったことで、大企業は特に、需要がどこにあるのか、供給がどこにあるのかがすぐに分かることは重要だ。
2つ目はインメモリデータベースだ。コンカレントプランニングに必要なスループットを得るには、既存のデータベースでは不可能だった。そこで、20年以上前にインメモリデータベースを社内で開発した。今でこそインメモリデータベースはよく聞くが、当時は全く知られていなかった。
生産ラインが多い、品種が多い、生産量が多いなどの企業は特に、可視化が問題になっている。KinaxisのRapidResponseはこれを解決するものとなる。