松岡功の一言もの申す

AWSの勢いを示す「ユーザーの熱い要望」

松岡功

2018-06-06 10:00

 ITベンダーにとってユーザーの要望は、苦情もあれば期待もある。その内容を見れば、問題点だけでなく、そのITベンダーの勢いを感じることがある。Amazon Web Services(AWS)にそれを感じることがあったので記しておきたい。

大阪ローカルリージョンをめぐるユーザーの熱い要望

年次イベントで基調講演に立つアマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長
年次イベントで基調講演に立つアマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長

 「AWSは創業以来、お客さまのご要望をお聞きしながら機能やサービスを拡充してきた。その姿勢は今後も変わらない」――。米AWSの日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長は、同社が5月30日から3日間、都内ホテルで開催した年次イベント「AWS Summit Tokyo 2018」の初日の基調講演でこう強調した。

 このイベントについては筆者もここ4年続けて取材しているが、回を重ねるごとに規模も来場者数も拡大しており、まさにクラウドサービス市場を牽引するAWSの勢いを肌で感じることができた。

 その基調講演では、長崎氏が事業の方向性や新しいサービスについて説明するとともに、金融、通信、自動車などの業界からAWSユーザーが登壇し、それぞれ先進の活用事例を紹介していた。講演全体の内容については関連記事をご覧いただくとして、その中でユーザーとして登壇したKDDIの中島昭浩 理事 技術統括本部プラットフォーム開発本部長が語った「今後のAWSへの期待」の内容が興味深かったので取り上げたい。

 中島氏が語ったAWSへの期待は次の2点。 1つは「障害情報の精緻かつ迅速な連携」。AWS内外で発生したネットワーク関連などの障害への迅速な対応とリアルタイムでの障害情報の共有だ。これは通信会社ならではの高度な障害対応を求めたものである。

 そしてもう1つは「大阪ローカルリージョンを正規リージョンへ」。AWSは今年2月、東京リージョンと組み合わせて利用できる大阪ローカルリージョンを開設したが、これを正規リージョンにしてほしいという要望だ。

 中島氏は、「大阪ローカルリージョンが国内での完全なBCP拠点としての機能を保持していることは十分に理解しているが、まだまだ制約事項がある。ぜひとも“大阪リージョン”としての単独利用を実現してほしい。そうすると、私たちにとってはもっとハイブリッドクラウドの世界が広がるのではないかと考えている」と訴えた。

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