SAPはバックエンドの財務ソフトウェア製品とフロントオフィスを結びつけ、CRMを新たに再定義することで、さまざまな面でSalesforceに対抗していく計画のようだ。同社はすでにいくつものCRM関連製品を持っており、次の課題はそれらをどう組み合わせていくかになるだろう。
SAPの最高経営責任者(CEO)Bill McDermott氏は、自社イベント「SAPPHIRE NOW」で、「SAP C/4HANA」スイートの概要を説明した。これまで買収してきた「Hybris」「Gigya」「Callidus Cloud」を買収してきたことに続いて、ソリューションを連携させ、消費者データの保護、マーケティング、コマース、セールス、カスタマーサービスなどの業務をサポートする。
また同社は、現場での保守サービス機能を強化するため、AIとクラウドソーシングを使って現場の保守サービス技術者を管理するソリューションなどを提供している、スイスのCoresystemsを買収したと発表した。
McDermott氏は同イベントで、セールスのみにフォーカスした「古いCRMシステム」を刷新する必要性について話した。
McDermott氏は、「(SAPは)CRMの現状を受け入れることはなく、先陣を切って変えようとしている」と述べた。同氏はCRMに関するSAPの計画について、最近の決算発表の電話会見で触れていた。
SAPのCEO Bill McDermott氏
同氏は、CRMは顧客を一目で理解できる情報を提供すべきだという議論について熱心に語った。SAPは、同社の強みであるインメモリデータベース上に構築されたサプライチェーンや財務に関するソリューションをCRMと組み合わせて統合することで、他社との差別化を図ろうとしている。SAPが売りにしようとしているのは、機械学習、「SAP Leonardo」、そして8300社の顧客を持つEPRスイート「SAP S4/HANA」との統合だ。
McDermott氏は、CRMは変わらなければならないと主張し、「一部の企業がフォーカスしているセールスオートメーションの360度視点から、実際の顧客の360度視点へと移行してきた」と述べた。SAPの考え方は、「SAP Cloud Platform」上のあらゆるチャネルで、サプライチェーンと取引データを顧客レコードとコマースに結びつけるというものだ。