――ここは、とあるオフィス街に月1度だけひっそりとオープンする「SNS担当者お悩み相談室」。日々奮闘している企業のSNSマーケティング担当者たちの悩みを、SNSエキスパートであるMarie先生がやさしく解決へと導く、いわば隠れ家的カウンセリングルームである。
この4月に、社会人2年目を迎えたばかりの会社員。休憩時間に「ざっくりわかるSNSマーケティング入門」を熱心に読んでいるところを上司に見つかり、会社のSNS運用担当を任されることになった。ポジティブで頑張り屋だが、ほめられるとすぐに調子に乗ってしまうところが玉にきず。
今月の相談:とにかく、ミスするのが怖いんです……(内容編)
飯根:Marie先生、こんにちは!今日はご相談に入る前にまず、弊社の昨日の投稿を見てください!
Marie先生:はい、こんにちは。(スマートフォンを見ながら)「てにをは」はバッチリ、誤字・脱字・衍字もゼロですね。文章も全体的に読みやすくなったんじゃないですか?
飯根:はい!前回教えていただいたダブルチェック(表現編)の確認項目を紙に印刷して、デスクに貼ってるんです。自分でいうのも何ですが、投稿のクオリティが右肩上がりです!
Marie先生:それはよかったです。でも、実はダブルチェックで大切なのは表現だけじゃなく……。
(飯根くんのスマートフォンが振動)
飯根:(スマートフォンを見ながら)おっと、これは……。ちょっと失礼します!(スマートフォンをいじり出す)
Marie先生:飯根さん、どうしたんですか?
飯根:実は今、信頼できる友人がお役立ち情報をリツイートしてたんですが、これが結構、緊急性の高そうなニュースなので、うちのアカウントでも急いでリツイートしようかと……。よーし、ダブルチェック完了!
Marie先生:あら、そうなんですか。ちなみにどんなニュースなんですか?
飯根:実はですね……。関西方面から「当たり屋グループ」がこっちにやってきているらしいんです。被害も続出だそうで。これ、早くみんなに伝えないと!(声が大きくなる)
Marie先生:……。
飯根:(スマートフォンの画面を見せながら)これがその車のナンバーリストです。Marie先生にもお送りしますね!
Marie先生:いえいえ、結構です。その情報は知ってますから。最初に聞いたのは、確か1990年ごろだったかしら……。
飯根:???
Marie先生:飯根さん。その「当たり屋グループ」情報は、もはや古典ともいえるデマ情報、つまり「フェイクニュース」なんですよ。もう30年以上も前から流れている都市伝説で、紙に印刷されたものが回覧板として回されたり、掲示されたりしたことも多々あると聞いています。この情報がデマであることを、警察や新聞、テレビなどが何度も発表してきましたが、忘れられたころに復活するんですよね。
飯根:そうなんですね……。会社のアカウントで危うくフェイクニュースを拡散するところでした。(震えている)
Marie先生:企業が誤った情報を投稿すると「炎上」や「フェイクニュース拡散」の危険だけでなく、「信頼」に大きな傷が付きます。クレーム対応やお詫び、修正などに多くの時間やコストが掛かってしまいます。今日はこれらを防ぐために大切な内容のダブルチェックを学びましょうね。