ビジネスインテリジェンス、データウェアハウス、ダッシュボード
まず最初の段階として、データ駆動型の意思決定の有効性を認識することになる。その次に、適切なインフラを用意するとともに、企業の文化を変革し、適応させていく必要もある。
データ駆動型の意思決定という考え方は、目新しいものではない。しかし、範囲という点から見ると、少し話は異なってくる。データを収集し、アナリティクスを実施するというのは、一部の企業にしか許されていないぜいたくであったうえに、そのほとんどは後付けで説明やソリューションを考え出そうとするものだった。
ビジネスインテリジェンス(BI)はこの種のツールに、そして記述的分析はこの種のアプローチに付けられた名前だ。BIは企業における多くの意思決定者らにとって身近なものとなり、頼りにするものにもなってきている。初期の頃には、机の上に大量のプリンタ出力を積み上げることを意味していた。
これらのプリンタ出力は、製造や売り上げ、顧客増減といった重要なメトリックや重要業績評価指標(KPI)を要約したものとなる。こういった重要指標のレビューが可能になるという考え方に企業の意思決定者らが慣れ親しむとともに、そのプラクティスは深みを帯びたものとなる一方、ある種の問題が浮かび上がってきた。これらの情報はあまりにも大量だったが、十分というわけでもなかったのだ。
数千もの支店や従業員を抱える企業のメトリックを取得することを考えてほしい。その作業には圧倒されるものがあり、理解するどころか、目を通すだけでも膨大な時間と労力が必要となる。KPIは企業の全容を把握するうえでの助けにはなるが、それだけで十分とは言えない。
誰かが時間と労力を注ぎ込んでメトリックをレビューしたとしても、さらに詳しい調査が必要と分かった場合にはどうすればよいのだろうか?例えば、成績が芳しくない特定の支店に焦点を当て、過去のメトリックを見たり、他の支店と比較できるようにするにはどうすればよいのだろうか?
可視化とダッシュボードによって広大なデータの海を航行していけるようになる。
この種の問題はアナリティクスの進化を促す機会となった。そして、われわれはプリンタ出力や、専門のチームを用意してデータの処理と収集を行う必要があるアドホックな疑問から、可視化やダッシュボード、データウェアハウスといったソリューションに向かって歩を進めたのだ。
疑問がより複雑化するにつれ、こういった疑問に答えるための質問はデータベースやチームにとって重荷となり始めた。その結果、分析的な質問に答えるために最適化された、特殊な形式のデータベース、すなわちデータウェアハウスが台頭してきた。
さらに可視化とダッシュボードもアナリティクスを進歩させるうえで一役買った。大量のデータから迅速に概要を把握するために、さまざまな形式のチャートが生み出された。これらのチャートは、企業の業績を1カ所からレビューできるようにするためのダッシュボードと呼ばれるアプリケーションによって表示されるようになった。
このようなダッシュボードは最終的に対話性を獲得した。つまりユーザーは、クリックするだけで生のデータをドリルダウンし、全体的な概要から気になった具体的な部分を確認できるようになったわけだ。何かが起こった理由を説明するというこの種のアナリティクスは、診断的分析と呼ばれている。