松岡功の「今週の明言」

JEITA新会長が語る「IoTに向けた日本の強み」

松岡功

2018-06-15 10:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、電子情報技術産業協会の柵山正樹 会長と、日本HPの村上信武 クライアントソリューション本部長の発言を紹介する。

「産業や社会の構造が変化する中でJEITAは一層重要な役割を担う」
(電子情報技術産業協会 柵山正樹 会長)

電子情報技術産業協会の柵山正樹 会長
電子情報技術産業協会の柵山正樹 会長

 電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に6月1日付で就任した三菱電機の柵山会長が、都内ホテルで記者会見を開いた。冒頭の発言は、柵山氏がその会見で、JEITAの今後の役割について強調したものである。

 JEITAは2000年に、日本電子機械工業会と日本電子工業振興協会が統合して発足。IT・エレクトロニクス分野の業界団体で、テレビなどの家電製品やサーバなどの産業機器、電子部品などを扱う。そのJEITAが今後、一層重要な役割を担うとはどういうことか。

 柵山氏は、「IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術の進展により、産業や社会の構造が大きく変わりつつある。JEITAおよびIT・エレクトロニクス産業は、我が国の経済成長および社会の高度化を支える基盤として、また、今後あらゆる産業が連携するすることで新たな価値を生むためのつなぎ役として、その役割は一層重要になると考えている」との見解を示した。冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものである。

 同氏はまた、「JEITAは“コネクテッドインダストリ”を通じた、高度な情報活用による世界に先駆けた超スマート社会の実現、“ソサエティ5.0”の推進を事業指針として掲げ、異業種、ベンチャー、海外と連携し、成長分野に関わる課題の検討や政府への提言などを実施していく。電子部品、電子デバイスをはじめ、電子機器、ITソリューション・サービスなどを中核として、あらゆる産業をつなぐプラットフォームとなり、業種・業界を超えて社会課題に向き合う、課題解決型の業界団体への変革を、(会長の任期である)この1年間、進めていく」との決意も明らかにした。

 ただ、柵山氏がキーワードに挙げるIoTにおいて、グローバルで勢力を拡大するプラットフォーマーに対し、日本は確固たる存在感を発揮していけるのか。会見の質疑応答でそう聞いてみると、同氏は次のように答えた。

 「IoTといっても上位のシステム系から下位の設備系までレイヤがいくつか分かれる中で、欧米のプラットフォーマーと呼ばれるところは上位層に注力している。それに対し、日本は下位層に強みを持つところが多い。その強みを生かしながら上位層につなげていく仕組みをつくり上げていけば、日本はグローバルでも大いに存在感を発揮していけると考えている」

 また、柵山氏とともに会見に臨んだJEITAの長尾尚人専務理事も「欧米と違って日本が強みとするのは、製造業を中心とした現場力。そうした現場のエッジ環境と上位のクラウドを組み合わせる構想力が、これから問われることになる」との見解を示した。

 そうした中で、JEITAが今後、実際にどのような役割を果たしていくのか、注目しておきたい。

右から、JEITAの長尾専務理事、柵山会長、川上景一常務理事
右から、JEITAの長尾専務理事、柵山会長、川上景一常務理事

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]