IDC Japanは7月11日、国内3Dプリンティング市場の2017年実績と2018~2022年の予測を発表した。これによると、2017年の総売上額は前年比8.9%増の308億円だった。2017~2022年の年平均成長率(CAGR)を9.1%、2022年の市場規模を476億円と予測する。
国内3Dプリンティング市場は、3Dプリンタ本体市場、3Dプリンティング関連サービス市場、造形材料市場で構成。3Dプリンティング関連サービス市場は、受託造形サービスと修理/保守サービスで構成されている。
IDC Japanによると、2017年の3Dプリンタ本体の売上額は前年比成長率3.9%の121億円、3Dプリンティング関連サービスの売上額は同8.2%の107億円、造形材料の売上額は同19.0%の79億円だった。3Dプリンタ本体の売り上げでは2016年はマイナス成長だったが、2017年はプロフェッショナル3Dプリンタ(本体価格50万円以上)の出荷台数が堅調に伸びたことでプラス成長に転じた。
3Dプリンタ本体市場をセグメント別に見ると、デスクトップ3Dプリンタ(本体価格50万円未満)本体の出荷台数は前年比成長率マイナス22.5%の4700台、売上額は同マイナス22.2%の6億7000万円だった。また、プロフェッショナル3Dプリンタ本体の出荷台数は同27.1%の1900台、売上額は同5.9%の114億3000万円だった。
デスクトップ3Dプリンタ市場では、作製できるものには限界があり、何でも作ることができるわけではないことがユーザーに正しく認識されるようになってきたことから、個人の購入意欲は低調に推移すると見ている。一方、プロフェッショナル3Dプリンタ市場では、3Dプリンタの正しい認知が進むことで、3Dプリンタを使用する目的や用途が明確になり、新規購入の増加が期待できる。同時に、使用範囲が広がることにより既存ユーザーの追加購入の可能性も広がると指摘する。
そのため、デスクトップ3Dプリンタは減少するものの、プロフェッショナル3Dプリンタは堅調に増加していくと見ている。2022年の国内3Dプリンタ本体市場は、CAGRマイナス2.8%の出荷台数5700台で、売上額は同9.4%の189億8000万円と予測する。
国内3Dプリンタ本体市場セグメント別出荷台数 実績および予測:2016年~2022年(出典:IDC Japan)
※2016年と2017年は実績値、2018年以降は予測
本体以外では、3Dプリンティング関連サービス市場と造形材料市場は今後も成長を維持すると見ている。プロフェッショナル3Dプリンタの出荷が増加することにより、3Dプリンタ修理/保守サービス市場が拡大し、同時に造形材料の消費量も増加する。3Dプリンティング関連サービス市場の2017~2022年のCAGRを6.1%、造形材料市場のCAGRを12.3%、2022年の売上額はそれぞれ144億5000万円、141億7000万円と予測している。
IDC Japanによると、現在の3Dプリンタの主な用途は試作品製造だが、今後の成長のためには最終製品を製造する用途への拡大が求められる。そのためには、ベンダーが3Dプリンティングによる製造プロセス変革を行うための提案を行うこと、さらに3Dプリンティングによる製品製造における課題解決を含むユースケース情報を提供することが必要と指摘する。
国内3Dプリンティング市場売上額 実績および予測:2016年~2022年(出典:IDC Japan)
※2016年と2017年は実績値、2018年以降は予測