海外コメンタリー

「Google Cloud Next '18」で見えた、エンタープライズ分野でのグーグルの可能性

Tony Baer (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-08-03 06:30

 世界三大クラウドプラットフォームプロバイダーの一角を占めるGoogle Cloudは、上位2社がすでに存在感を確立した市場で橋頭堡を築くために同社が投入している資源の規模を見れば、とても無視できる存在ではない。現状では、Google Cloudの売上高は四半期あたり10~20億ドルの間とされており、「Amazon Web Services(AWS)」や「Azure」には大きく水を開けられている。

 ただしこの勝負は、まだとても決着がついたと言える状況にはない。企業のワークロードの多くが依然としてオンプレミスで実行されており、クラウドへの移行に関してプロバイダーらの勝負の行方はまだわからない。

 同社は、これまでは主に開発者だけを相手にしてきた単なるテクノロジ企業だったという印象を塗り替えるという、長く困難な戦いに挑んでいる。Google Cloudの最高経営責任者(CEO)Diane Greene氏は、米サンフランシスコで開催された同社の年次カンファレンス「Google Cloud Next」でも、「エンタープライズ」のメッセージを繰り返した。同社は、エンタープライズ市場での同社の勢いが増していると強調した。そのメッセージの柱は、一部の調査企業で同社のセキュリティ機能とネットワーキング機能が高い評価を受けたことだ。

 しかし現時点では、Googleは顧客と接するエンジニアの数が営業担当者の数よりも多い、普通とは違う「エンタープライズ企業」に見えているかもしれない。このことでよい方向に向かう可能性もある。

 Googleが先端技術と人工知能(AI)で高い評価を受けていることは、企業が本当にその恩恵を受けるには、変革が必要になることを暗に意味している。その実例もある。通信事業者に料金請求システムソリューションを提供しているOptivaは、グローバルな分散データベース「Google Cloud Spanner」を活用してミッションクリティカルなシステムを構築しているという。OracleからSpannerに移行する際は、SpannerのアーキテクチャがOracleほど複雑でなかったため、データベースのストアドプロシージャに組み込まれていたコードをリファクタリングする必要があったほか、データの構造も変更しなくてはならなかった。しかし公平のために言えば、ほかのクラウドネイティブなプラットフォーム(「Amazon Aurora」や、「Microsoft 365」のようなOfficeスイートなど)に移行する場合でも、やはり大きな転換が必要になるはずだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]