海外コメンタリー

勢い増す中国のオートメーション産業の今とこれから

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-08-22 06:30

 中国は、この1年間のロボット業界でもっとも「熱い」話題だ。

 習近平政権が掲げる産業育成政策「中国製造2025」(Made in China 2025)では、中国が世界のロボット産業を牛耳るまでのロードマップが示されている。

 しかし、中国は実際に台頭するのだろうか?米国との貿易摩擦の高まりは、中国のオートメーション産業に悪影響を及ぼしてはいないのだろうか?

 筆者は、中国がロボット強国を目指す背景で何が起こっているかを知るために、世界的な視野からの意見を求めて、ロボット企業やAI企業を評価するベンチマーク指標などを手掛けているROBO Globalの調査ディレクターJeremie Capron氏に話を聞いた。

--中国のオートメーション産業は、爆発的に成長しているように見えます。これは誇大な見方なのでしょうか?それとも、中国のロボット産業の成長は、実際にオートメーション業界でささやかれているほどの水準なのでしょうか?

 中国自体が世界で最大の、そしてもっとも成長が速いロボット市場です。中国製造2025などをはじめとする中国政府の公式な後押しは、AI技術に対する研究開発を活発化させており、その投資は今やシリコンバレーのスタートアップにも匹敵するものになっています。これまでのところ、ロボットとAIの分野における中国の活動は恐ろしく活発で、イノベーションが減速する兆候はまったく見られません。

--しかし、中国がこれまでその労働力を競争力の源泉としてきたことを考えれば、少なくとも一見したところでは、この状況は少々矛盾しているように見えます。

 中国は労働力とハイテク投資に依存していますが、実際には、これらの分野における発展は他国よりも遅れています。現時点では、中国のハイテク製品のほとんどは、まだ世界的な輸出市場では競争力を持っていません。これは、品質の低さと流通チャネルが脆弱であることが原因です。

 Huawei(ファーウェイ)や、Xiaomi(シャオミ)HollysysSAIC Motorなどの中国企業の出荷先は主に国内市場で、世界的な輸出市場に対する影響力は大きくありません。中国がオートメーション分野でのイノベーションを急いでいるのはそのためです。

--中国は国際市場で競争を引っ張って行けるような位置にいるのでしょうか?

 中国のオートメーション業界が持っている大きな優位性の1つは、中国製造2025という政府のバックアップがあることです。

 その一方で、中国のオートメーション分野の弱点には、製品が他国のものに比べて劣っていることも含まれています。中国のロボット製品やオートメーション製品には、世界市場に輸出できるだけの十分な先進性はありません。とはいえ、中国のイノベーションにかける確固たる意気込みが、状況を変えつつあります。

 中国はAIに精力的に投資しており、実際、2018年のAI技術に対する支出は、すでに米国を上回っている可能性があります。

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