VMwareは、米国時間8月26日よりラスベガスで開催している「VMworld 2018」で、ブロックチェーンに関する取り組みを発表した。同社がブロックチェーンに目を向けているのは、それが今流行りの業界用語だからではない。VMwareは約4年前から、ブロックチェーンの研究プロジェクトを開始しており、現在は分散型システムに関する最高レベルの人材が同技術に取り組んでいるという。
同社によると「Project Concord」は、拡張性とエネルギー効率に優れ、分散化された信頼性の高いオープンソースのインフラで、デジタルベースの取引などの合意やスマートコントラクトを実行するためのものだ。
VMwareのバイスプレジデント兼最高技術責任者(CTO)のRay O'Farrell氏は、VMworldの基調講演で、「スマートコントラクトとデジタルコンセンサスのためのソリューションとして、ブロックチェーンを検討中の組織が増え続けている」と述べた。
「この技術は今後、企業が相互にやり取りして、協業する際に、重要な役割を果たす可能性がある」(O'Farrell氏)
O'Farrell氏によると、Project Concordは、エンタープライズでも運用できる検証可能な信頼性を、選択肢、性能、規模と共に提供できる。
「最も一般的な、広く普及しているインフラで、コンセンサスアルゴリズムを実行するのに8日以上かかる例などを見てきた。Project Concordの場合、同じことを2時間半で終えられる」(O'Farrell氏)
VMwareのバイスプレジデントで、アジア太平洋・日本担当CTOのBruce Davie氏は、ブロックチェーンはインフラの汎用的な要素であり、さまざまな応用例があると説明した。そのためVMwareが、インフラ層のプロバイダーとなり、他社がその上に構築できるようにするのは、理にかなっているという。
同氏は、「当社では、分散型システムに精通した世界最高クラスの人材が、エンタープライズでの利用に特化したセキュアな分散台帳技術を構築するためにこれらのアルゴリズムに取り組んでいる」とし、エンタープライズは仮想通貨とはまるで異なると説明した。
VMwareが掲げるブロックチェーンのビジョンは、Concordのコンセンサスエンジンを中心に、組織という境界を超えて信頼できる情報共有を可能にする技術を活用して、エンタープライズクラスのサービスを開発するというものだ。
そのエンタープライズ向けブロックチェーンの主要要素となるのは、マネージドデータの複製をパブリッククラウドとプライベートクラウドで配備できる選択肢、監査およびコンプライアンスの機能、エンタープライズ対応のセキュリティと耐障害性、VMwareのその他の製品との統合機能だとしている。
VMwareのネットワーキングおよびセキュリティビジネス部門のPeder Ulander氏は米ZDNetに対し、VMwareの顧客の多くがブロックチェーンに注目しており、そのためブロックチェーンが行うことを明確に把握することが同社の狙いだと述べた。同社がブロックチェーンを熟知していることが重要なのは、クールなバズワードだからではなく、顧客が関心を持っているためだと説明した。
情報開示:本稿を執筆したAsha McLean記者は、VMwareの招待を受け、VMworldに参加している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。