ブロックチェーンには、国をまたがった決済や、資産売買にともなうスマートコントラクト、記録の確実な保管、医療記録、サプライチェーンの簡素化といったさまざまな可能性がある。また、企業の多くは今後、より効率的でセキュアなブロックチェーン技術を用いた新たなツールを手に入れ、ブロックチェーンを用いた新たなビジネスモデルが生み出されるとみられる。しかし、そういったことが一夜にして起こると考えるべきではないとの見方がある。また、スキル不足やITの文化、構造の問題、想定されるリスクなど、ブロックチェーンの導入を妨げる障壁となりうる課題についても考える必要がある。
Gartnerによれば、ブロックチェーンのビジネスに対する付加価値は、2025年までに1760億ドル強まで増加し、2030年には3兆1000億ドルを超えるという。一方で同社は、2025年までは、ブロックチェーンから大きな利益が得られるとは見ていないようだ。Gartnerは、現在のブロックチェーンの利用法のほとんどは破壊的影響を及ぼすものでないとしている。それでも、別のGartnerの調査によると、ビジネスリーダーの66%がブロックチェーンはビジネスに破壊的な影響を及ぼす技術だと考えており、相応の予算を割り当てているという。しかし、Gartnerの2018年版「CIO Survey」では、「組織に何らかの形のブロックチェーン技術を導入したと回答したCIOは1%しかいなかった」ことが明らかになった。
さまざまな見方がある中、業界ごとのブロックチェーンの状況、普及を加速する要因、企業にとってのメリットや課題についてどのように展望されているのだろうか。複数の調査などからみえるブロックチェーンの現在と今後について、参考になる記事をまとめた。