本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米Google CloudのDiane Greene CEOと、レノボ・ジャパンの林淳二 ワークステーション製品事業本部長の発言を紹介する。
「Google Cloudの優位性はAIとセキュリティにある」
(米Google Cloud Diane Greene CEO)
米Google CloudのDiane Greene CEO
グーグルが先頃、プライベートイベント「Google Cloud Next in Tokyo '18」を都内のホテルで開催した。このイベントで基調講演を行った米Google Cloudの最高経営責任者(CEO)である Diane Greene(ダイアン・グリーン)氏の冒頭の発言は、Google Cloudの競合に対する優位性について語ったものである。
Greene氏はまず、多くの企業においてクラウド利用はまだ初期段階、さらに人工知能(AI)技術の活用については、まだ黎明(れいめい)期にあるとの見方を示し、「企業におけるクラウド利用率はおよそ1割といったところではないか。ただ、最近になって自社のシステムを抜本的に刷新するためにクラウドへの移行を検討し始めた企業が増えてきたと実感している」と述べた。
また、同氏はGoogleが推進してきたクラウドについて、「Googleはこれまでインターネットを活用したテクノロジカンパニーとして成長を遂げてきた。まさしく20年をかけてクラウドの技術を磨き上げてきた。その技術水準は最先端であると自負している。その最先端の技術を多くの企業に活用していただきたい」と訴えかけた。
そして、Google Cloudの競合に対する優位性については、冒頭の発言のように「AIとセキュリティにある」と明言。AIについては、「Googleの創業者たちがAIの威力を理解していたので、創業当初から研究開発に取り組んできた。その結果、今ではGoogleの全てのものにAIが組み込まれている」とし、「Google Cloudにおいてはこれまで培ってきたAI技術をパッケージ化して、誰でも簡単に利用していただけるようにしている」と語った。
一方、セキュリティについても、「Google自体が世界中で日々、非常に多くのサイバー攻撃に対処している。その経験に基づく技術の蓄積が、Googleならではのサイバーセキュリティに対するクオリティにつながっている。Google Cloudにはそうした最高水準のセキュリティ技術が組み込まれている」と説明した。
その上で同氏は、「AIというのは、企業にとって新たなビジネスチャンスを生み出すものだと捉えることができる。一方、セキュリティというのは、企業にとって最大のリスクになり得る。つまり、企業にとってチャンスとリスクになるこの2つの要件を、Google Cloudは優位性として兼ね備えている」との見解を示した。
いわば、Google Cloudは企業にとって最大の「攻め」と「守り」の道具立てを用意していると。なるほど、分かりやすい説明だと妙に納得したGreene氏のスピーチだった。
AIの取り組みについて説明するGreene氏