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デザイン思考からモノ作り--IBMが東京・銀座に活動拠点

國谷武史 (編集部)

2018-10-01 17:10

 日本IBMは10月1日、イノベーション活動の拠点と位置付ける「IBM Cloud Garage」を東京・銀座のGINZA SIXにあるワークスペース「WeWork」内に開設した。同社箱崎事業所(東京都中央区)から移転した形だが、銀座という場所を選んだ理由などを取材した。

 IBM Cloud Garageは、IBMが2016年に世界各地で立ち上げたスタートアップやユーザー企業とのコラボレーションを通じて、新規ビジネスやテクノロジソリューションなどを創出していく場となっている。東京の拠点も同時期に設立され、現在ではブロックチェーンやIoT(モノのインターネット)など先端テクノロジを取り入れた活動ができる場所の1つ。希望に応じてユーザー企業のオフィスで実施するケースもあるという。

GINZA SIXのワークスペース「WeWork」内に開設された作業スペース
GINZA SIXのワークスペース「WeWork」内に開設された作業スペース

 研究開発 クラウド・イノベーション部長の中鹿秀明氏は、同拠点の特色として「IBMが強みとしているデザイン思考のメソドロジに基づいてアイデアを議論するだけではなく、実際にモノを作り、アジャイルのアプローチで検証と試行を繰り返しながらカタチにしていく点にある」と話す。

 プロジェクトでは、メーカー/ベンダーとユーザーという立場を超え、1つのチームとなってイノベーションを生み出すために一緒に行動する。「IBM側からはアーキテクトやデザイナー、デベロッパーといったメンバーが参加しているが、パートナーや顧客にも取り組みをけん引するプロダクトオーナーの立場で必ず参加してもらい、共創モデルで進めていく」(中鹿氏)

 プロジェクトのゴールは、顧客が抱えている課題の斬新な解決からテクノロジを活用した事業創出まで幅広いが、ここではそのアプローチの実践を通じて得られる思考や経験に大きな意味があるとする。伝統的なウォーターフォールの開発手法から「DevOps」といったアジャイルへの転換が叫ばれているが、多くの企業にとってアジャイルを実体験できる機会や場所は、それほど多いわけではない。

 「最終的な完成像を描いて開発するウォーターフォールに比べ、デザイン思考によるアジャイル開発はアイデア出しからプロダクト化まで数時間~数日とスピードが全く違う。IBM Cloud Garageは、クラウドを使って今までにないスピードで創造を具体化していく場になっている」(中鹿氏)

 1つのプロジェクトの期間は平均すると3~6カ月ほどというが、アイデアの具現化と概念実証(PoC)の先として、同社のグローバル・ビジネス・サービス(GBS)と連携した事業化とその定着までの支援体制も同社ならではだという。「海外では、顧客と何年にもわたる共創の契約を結び、継続的なイノベーション創出の場として活用されているケースもある」(GBS事業本部 CTO 技術理事の二上哲也氏)

デザイン思考における作業の一例
デザイン思考における作業の一例

 またCloud Garageは、IBM自身のイノベーション創出の場としても活用されているといい、例えば、ウェアラブルデバイスと遠隔操作技術で現場作業を効率化する「Fieldtech AR」や、展示商品に取り付けた加速度センサで顧客がどのように触ったかを検知し、動きに応じてプロモーションコンテンツを展開する「Mov」といったソリューションなどを日本IBMが開発。これらを世界展開する準備も進めている。

 イノベーションを生み出す手法として注目されるデザイン思考は、今ではIBMに限らず多くの企業が取り入れ始めている。その活動場所は、日常業務をこなすオフィスなどとは異なる方が、アイデアの発信や議論が進みやすいとされる。今回、同社がIBM Cloud Garageを箱崎事業所から銀座へ移転したのも、「日本での流行が生まれる銀座という土地柄にあって、最先端施設として話題を集めるGINZA SIXという環境に注目した」(中鹿氏)とのこと。また、テクノロジによるイノベーション創出では米国シリコンバレーのような産業の集積地もポイントになりそうだが、「ITの企業ばかりが集まる場所では、むしろ(ビジネスの)イノベーションは生まれにくい」(中鹿氏)との見解である。

「IBM Cloud Garage」の所在地

「IBM Cloud Garage」の所在地

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