大企業の新技術導入率は、最大で小規模企業の10倍に及んでいる。2020年には、従業員数5000人以上の企業の86%がモノのインターネット(IoT)を導入し、65%がエッジコンピューティングを、64%が人工知能(AI)を、56%がブロックチェーンを利用した技術を導入する予定だという。
これらは、ITリソース提供企業Spiceworksが発表した、北米・欧州の企業のITに関する意思決定者780人を対象とした調査レポートで明らかになった数字だ。
調査によれば、大企業は2019年にIT予算を拡充する可能性が高く、古いインフラを更新しながら、並行して最新のセキュリティ製品を導入しつつ、革新的なテクノロジにも投資することができるという。
SpiceworksのシニアテクノロジアナリストPeter Tsai氏は、「大企業には、新技術のテストや導入、管理に割けるリソースや人員が多い」と述べている。「その一方、小規模な企業のIT予算の伸びは大企業ほどではなく、限られたリソースを、古くなってサポート切れになったものもあるインフラやソフトウェア、サービスの更新といった、より喫緊の課題に振り向けている」
その結果、多くの小規模企業では、業務に及ぼす影響が大きいことが明確になるまで新技術の導入を先延ばしにしがちになるとTsai氏は言う。
調査によれば、現在企業の3分の1以上(37%)がITオートメーションを利用しており、36%がギガビットWi-Fiネットワークを、27%がIoT技術を利用している。2020年には、この割合がそれぞれ58%、61%、48%まで上昇する見込みだという。
一方、導入している企業が少ない技術もある。例えば、コンバージド・ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(18%)、コンテナ技術(18%)、3Dプリンタ(15%)、エッジコンピューティング(15%)、サーバレスコンピューティング(15%)などがこれに当てはまる。しかし、2020年までにはこれらの数字も上昇すると予想されている。
大企業を除外すると、仮想現実や人工知能、ブロックチェーンなどを導入している企業はさらに少なくなる。
新技術への投資以外に、企業のネットワークを攻撃から守る新しいサイバーセキュリティツールの導入も進んでいる。調査結果によれば、現時点でもっとも導入率が高いのは、ランサムウェア対策製品、従業員のセキュリティ教育ツール、ハードウェアによる認証技術などだ。IoTセキュリティ製品や、AIを利用したセキュリティアプリケーション、ディセプション技術(罠を仕掛けて攻撃者を封じ込める技術)などを導入している企業は比較的少ない。
Spiceworksのレポートでは、新技術に関するその他のトレンドとして、大企業では小規模企業に比べて最新のセキュリティ技術の導入率が高いことを取り上げている。
また業界別に見ると、新技術をもっとも早く導入しているのは金融サービス企業であり、もっとも遅れているのは政府機関だという。例えば、金融サービス会社はほかの業種と比べて、ITオートメーション、サーバレスコンピューティング、AI、ブロックチェーン技術の導入率がもっとも高くなっている。反対に、政府機関は、IoT、エッジコンピューティング、AI、ブロックチェーン技術など、ほとんどの新興テクノロジで採用率が最も低い。
そして驚くべきことではないが、従業員のセキュリティ教育ツールやユーザー行動分析ツール、クラウドワークロード保護、ブラウザアイソレーション(分離)、AIを利用するセキュリティツールなど、最新のセキュリティ製品の導入率が最も高いのは金融サービス企業だ。
他の傾向としては、ITの意思決定者の41%は、ITオートメーション技術がビジネスに最も大きな影響を与えると予測しており、約30%はIoT技術とギガビットWi-Fiネットワークが最大の影響力を発揮すると考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。