米エネルギー省(DoE)は米国時間10月30日、国立エネルギー研究科学計算センター(NERSC)にプレエクサスケールのスーパーコンピュータを新規導入する計画を発表した。2020年に導入される予定となっている。「Perlmutter」と名付けられたこのヘテロジニアスシステムは、CPUのみの筐体とGPUアクセラレータを搭載した筐体で構成される。同システムの性能は、現在NERSCに設置されている、世界の最速コンピュータランキングで10位につけている「Cori」の3倍になるとされている。
NVIDIAのGPUを搭載するPerlmutterはNERSCにとって、初めての大規模GPUシステムとなる。DoEは6月に、「NVIDIA Volta Tensor Core GPU」を搭載したプレエクサスケールのスーパーコンピュータである「Summit」と「Sierra」について発表している。プレエクサスケールのシステムは、1秒あたり100京(京は1兆の1万倍)回の計算が可能なエクサスケール時代を目前に見据えたものとなる。
PerlmutterはNERSCにとって、大規模シミュレーションや、実験施設や観測施設から得られたデータの分析を主な目的として設計された初のシステムだ。NERSCの科学者らは、電波望遠鏡や粒子加速器、電子顕微鏡、その他のセンサからの大規模データを処理している。
このシステムには、データ中心型コンピューティングを念頭に置いてCrayが新たに設計した「Slingshot」というシステム間相互接続機能のほか、直接液体冷却機構、毎秒4テラバイト超のデータ転送速度を実現するオールフラッシュのスクラッチファイルシステムが搭載される。Perlmutterシステムのチーフアーキテクトを務めるNick Wright氏によると、NERSCはCPU搭載ノードとGPUアクセラレータ搭載ノードの双方を用いることで、多様なアプリケーションの生産性を最大化することになるという。
Wright氏は声明に「GPUの採用によって多くのコードは即座にメリットを得られるようになるが、それ以外のコードはより多くの準備が必要となるだろう」と記している。NERSCの最近の調査によると、同センターで稼働しているワークロードのほぼ半数が、GPUアクセラレーションによる利点を享受できるという。
Perlmutterという名前は、ノーベル賞を受賞した、ローレンス・バークレー国立研究所の宇宙物理学者Saul Perlmutter氏の栄誉をたたえて付けられたものだ。このシステムの契約総額は、複数年にわたるサービスとサポートを含めると1億4600万ドルにのぼる。
米国エネルギー長官Rick Perry氏は声明で「ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野においてリーダーシップを発揮し続けることが、米国の競争力と繁栄、国家安全保障にとって必要不可欠だ」と述べるとともに、「米国の業界との緊密な連携で生み出された、この先進的な新システムは、米国の科学者に発見とイノベーションをもたらすためのパワフルな新ツールを提供するとともに、来たるべきエクサスケールコンピューティング時代に向けた重要なマイルストーンとなるだろう」と続けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。