ここまでは、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用するフェーズとして、集客・獲得・選別・接触・営業の5つに分けて、それぞれのフェーズで行うべきこと、考えるべきことについて紹介してきました。ここまでで、MAツールの活用のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。
ただし、本連載では特定のサービスに特化せずに、MAツールの活用について解説してきました。いざ、MAツールを導入しようと思ったときに、どれを選べばいいか分からない、という悩みもしばしば耳にします。
そこで、今回はMAツールの選定ポイントをフェーズごとに解説していきます。各フェーズにおいて自社が抱えている課題を明確にした上で、それに対応できるMAツールを選ぶことで、導入した後の「こんなはずじゃなかった」をなくせます。また、ツールベンダーや代理店から提案を受けるときは、自社の課題を解決できるかを聞いてみるといいでしょう。
集客フェーズのチェックポイント
- 狙ったキーワードで検索エンジンから集客できているか
- SNSの運用を集客に繋げられているか。運用の費用対効果はどうか
- 広告のCPA(獲得単価)は上がってないか
集客のための自社サイトやオウンドメディアを、どのような指標で評価していますか? 一般的にPV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)などで評価していることが多いと思いますが、MAツールの導入の観点からは、CPAで評価して課題を洗い出してみるのがおすすめです。
コンテンツへのアクセスが増えても、狙ったリード(=ペルソナに合致するリード)が獲得できていなければ意味がありません。コンテンツ作成費、広告費、サイト運用にかかる費用などの投資に対して、1人当たりの顧客獲得単価を考えて効果が上がっているかという観点で評価してください。
獲得フェーズのチェックポイント
- ランディングページのCVR(コンバージョン率)は十分であるか
- リードを登録してもらう際、その対価として十分なオファーを提示できているか
- 展示会やイベントで、狙った通りのリードを得られているか
MAツール導入前の企業で担当者の相談を受けていると「既にリードは10万件あるので、メールを配信すれば効果がすぐに現れるはず」というような話を耳にすることがあります。
果たしてそのリードは本当に今でも「生きている」情報なのでしょうか。試しにメールを送ってみて、開封率やリンクのクリック率などを調査してみてください。長い年月をかけて集めたリードの中には、古くなってしまって既に使われていないということがよくあります。思った以上に反応がないことも珍しくありません。開封やリンクのクリックなどの反応があれば生きているリードですので、そのリードのみをMAツールにインポートするとよいでしょう。
リード獲得の手法についても見直してみてください。ビジネスの内容によっては、オンラインの問い合わせ、Eブックダウンロード、メールマガジン登録といった獲得手法よりも、電話での問い合わせからの獲得が多い場合もあります。電話の問い合わせのトラッキングができるような仕組みはありますか?
また、展示会やイベントなどオフラインの場合でも、その投資に対してどれだけ、ターゲットとするリードが獲得できているかを評価してください。
選別フェーズのチェックポイント
- 獲得したリードが放置されていないか
- 獲得したリードの優先順位付けができているか
- ホットなリードを顕在化できているか
- 追う必要のないリードを顕在化できているか
獲得フェーズのチェックポイントにも関連しますが、リードは獲得した後に、情報を精査しなければなりません。ペルソナにマッチしているか、ホットリードか(すぐに営業ができるくらい購入意欲が高まっているか)といったことを、登録された情報やこれまでの行動などから判断します。そもそも、リードの判別をする仕組みがない場合は、できていないということになります。