Walmartは年末商戦に向けて、店員に大規模なVR訓練を施す実験を行った。関係者の話によると、同社は年末商戦に備えて、各店舗の店員にVR技術を使った訓練を実施したという。
同社は2018年9月に、訓練用の「Oculus Go」のヘッドセットを年末までに1万7000台以上調達する予定だと発表している。これは、VRを使った従業員訓練プログラムとしては世界的に見ても最大級の試みであり、小売業界はその動向に注目していた。
Walmartによれば、VRを利用することで、顧客とのやりとりをシミュレーションで体験できるようになるため、紙に印刷された写真や文章では得られない効果が望めるという。狙い通りにいけば、現実に近く、リアルタイムでの学習が可能な、ミスを犯しても許される安全な環境をシミュレートできる。
米国のブラックフライデーには、小売店はよい買い物をしようと血眼になった客による「無法状態の攻城戦」と形容されるほどの修羅場になる。これは、通常の従業員訓練では備えが難しい高ストレス環境の好例だと言える。Walmartは、米国で小売店舗が一番忙しい日に遭遇しそうなシチュエーションを、シミュレーションで一部の店員に体験させようとしたようだ。
Walmartが使用しているOculus Goのヘッドセットでは、STRIVRのVRソフトウェアが使用されている。伝えられるところによれば、この訓練プログラムは効果を上げているようだ。報道担当者によれば、仮想現実による訓練では、コンピュータを利用した学習方法や教室を用いた手法に比べて、訓練テストのスコアが5%から10%高いという。
VR訓練の波及効果を示す話もある。VR内で他の店員とコミュニケーションを取ったり、他の店員のトレーニングを見ていた店員には、一部の接客スキルに改善が見られたという。
Walmartはこれまでに、STRIVRで40種類以上の訓練モジュールを作成した。これらの訓練モジュールは、主に共感の示し方や顧客サービスなどのソフトスキルに焦点を当てたもので、これらはどちらも、従来の訓練手法では教えたりテストしたりすることが難しいスキルだ。各訓練モジュールは、3分から5分程度の長さになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。