この連載の第1回記事が掲載された1月15日、日本マイクロソフトは記者会見を開き、同社の平野拓也社長が改めてWindows 7のサポート終了まであと一年であり、サポート終了後のWindows 7を使い続けることは、セキュリティリスクにさらされるだけではなく、生産性向上のための改善の機会を奪いビジネスそのもののリスクを増大させるものだと訴えました(関連記事)。
特に日本マイクロソフトが危機感を募らせるのは、中堅中小企業(従業員1000人以下)の移行の進捗です。大企業の95%が既にWindows 10への移行を開始しているのに対して、中堅中小企業のWindows 7のサポート終了日程の認知はわずか63%。2018年9月の調査からは、6ポイントほど上昇したものの、まだ低い水準にあります。
その対策として日本マイクロソフトは、最新のデバイスとOffice 365、Microsoft 365などのクラウドサービスを一元的に提供する「Device as a Service」をパートナーとともに提供すると発表しました。当社もそのパートナーの一社です。
日本において「Device as a Service」市場を調査したMM総研によると、調査した企業の過半数がPCの導入、移行における課題を訴えており、実に60%の企業がその解決策として「Device as a Service」の利用意向があると回答しています。それにより、現在3%ほどの「Device as a Service」の需要は、2020年までに30%まで上昇する見込みです。
IT部門が半年でWindows 10への移行を終わらせるために、毎月1つずつテーマをクリアしていく本連載。2月は、「調達方式を決めて、予算を確保する」です。今回は、この「Device as a Service」を中心に、Windows 10へ移行するための予算を検討していきます。
前回は、全社を挙げて生産性とセキュリティを継続的に向上していく仕組み作りがWindows 10への移行だと述べました。そして、そのためにも経営層がしっかりとその認識を持ち、メッセージアウトすることが重要です。その上で予算をしっかりと確保してもらいましょう。Windows 10の運用は、従来のWindowsの運用と異なる幾つかの技術的な課題をクリアする必要があります。それにはソリューションの導入が欠かせず、お金がかかります。
なぜならば、大きなアップデータの容量がネットワークに負荷をかけるからです。今後小さくなっていくと思われますが、Windows 10の機能更新プログラム(Feature Update)の容量は3~6GBくらいあります。当社では「Unifier Cast」というソリューションを提供しており、大きなアップデータを小さく分割し、さらにPC間で共有させる(サーバからは一定数のPCからしかダウンロードさせない)ことでネットワークに負荷をかけない仕組みですが、マイクロソフトから無償で提供される標準の機能では、この制御は十分とは言い難く、サポート面も考えると当社のようなサードパーティ製品を利用することが今のところ一般的だと思います。
また従来、「月次パッチ」と呼ばれていたセキュリティフィックスを含む「品質更新プログラム(Quality Update Program)」も、「累積更新プログラム(Cumulative Update Program)」が基本となり、全ての累積パッチを含むものになっています。これは1GBを超すこともあります。しかも毎月第2火曜日に提供するというこの品質更新プログラムの累積更新プログラムですが、第3火曜日や第4火曜日にも、さらには火曜日以外にもリリースされることがあります。
そうなると、月1回以上の頻度でネットワークに負担をかけることになります。これらを踏まえると、何らかのソリューションを導入せざるを得ません。また、全てのユーザーに一気に更新を適用すれば、問題が発生した時に大変です。そのためにも「リング」という段階を分けたアップデート運用をマイクロソフトは推奨していますが、その運用をExcelや紙の台帳で管理するわけにもいきません。管理するソリューションも必要になるということです。手前味噌ですが、当社のUnifier Castであれば、管理するためのダッシュボードを備えています。
ちなみに、アプリケーションの改修は大きな問題にならないそうです。前回も述べましたが、「絶対に大丈夫」ということはないでしょうが、マイクロソフトいわく、「Windows 7のアプリケーションの実に96%はWindows 10で動く」そうです。それほど大きな予算を見込む必要はないでしょうし、ここはWindows XPからWindows 7への移行でも経験があるIT部門であればその算定も容易なはずです。
以上のことから予算が必要な部分は、最低限この2点といえます。
- 大きく運用が変わるアップデート運用。特にネットワークへの負荷と段階的なアップデートをどうしていくかという点について、ソリューションの導入
- アプリケーションの改修