月刊 Windows 10移行の心・技・体

8月:番外編--それでもWindows 7を使いたい!

松尾太輔 (横河レンタ・リース)

2019-08-21 06:00

 7月まで、全てのタスクをクリアした読者の皆さんは、既にWindows 10の導入を進められていると思います。しかし、どうしてもWindows 10で動かないアプリがあるとか、対応していないデバイスがあるとかで、「Windows 7を使い続けたい!」という企業もあると思います。そこで、今週のお題は「番外編:それでもWindows 7を使いたい!」です。

 まず申し上げておきますが、「セキュリティを諦める」は最もやってはいけないことです。2020年1月14日のWindows 7のサポート終了(以下、EOS:End of Support)以降は、Windows 7向けのセキュリティパッチが提供されません。そのため、そのまま使い続けるということは、それ以後に発生するセキュリティホールをそのままにして使い続けることになり、非常に危険です。しかし、そこを諦めて、とりあえずEOS後も使い続けちゃおうと「セキュリティを諦めている」ことを考えている企業が、私が相談を受けた企業にも少数ですがいらっしゃいました。

 絶対にやめてください。改めて申し上げます。EOS後のWindows 7を使い続けてセキュリティリスクを放置することは、セキュリティ事故発生時に企業の信頼そのものを地におとしめるだけではなく、もしかすると他社へのサイバー攻撃の踏み台になり、訴訟問題に発展する可能性もあります。実際に攻撃者は、セキュリティレベルの高い大企業を攻撃する前に比較的セキュリティレベルの低い取引先の中小企業を攻撃して、そこから攻撃を仕掛ける手口を今もまだ使っています。

 そもそも、今使っているWindows 7のPCは、もともとWindows 10プリインストールモデル(OEM OS)で、Windows 7ダウングレード権によってダウングレードして使っているものがほとんどだと思います。実は、このダウングレード権はWindows 7のEOSまでの期限付きの権利です。そのため、ダウングレードして使っているWindows 7のPCは、2020年1月以降に使い続ける場合は、明確なライセンス違反となります。セキュリティ事故を起こす前に、Microsoftから訴えられる可能性があるというわけです。

 それでは、EOSまでにアプリの改修が間に合わない、デバイスが対応していないためにWindows 7を使い続けたいという企業はどうすればいいのでしょうか。実は、Windows 7を使い続ける“合法的”な方法があります。「Windows 7 Enhanced Security Update(ESU)」というアップデートプログラムを購入することで、EOS後もWindows 7のセキュリティパッチの提供を受けることができます。当初、日本で一般的なOEMのWindows(プリンストールされたWindows)には適用できないとアナウンスされましたが、実際には関係ないようです。(新しくWindows 7のライセンスを購入するという体で)価格は非公開ですが、大体2万円/台・年くらいと言われています。

 ただしこれには落とし穴があります。年間契約ですが、次年度以降の2年目、3年目に値上げをするとMicrosoftは予告しています。スタート時で2万円ですから、3年も使うと6万円以上、8~9万円/台・年がかかる可能性も否めません。そうなると、もう1台PCが買えてしまうくらいのコストを負担することになります。これで生産性が上がるわけでもないので、かなりの無駄と言えるでしょう。

 それでは、このESUをもっとお得に利用する方法はないのでしょうか。2つほど、紹介します。

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