しくじりアプリにありがちな3つのパターン--なぜ使われないアプリが生まれるのか

藤本和彦 (編集部) 2019年02月28日 07時00分

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 ウェブやアプリは、インターネットやスマートフォンの普及とともに、企業と消費者をつなぐ接点として重要な役割を担っている。その一方で、ウェブとアプリの使い分けやアプリ開発の目的など悩みどころも多い。せっかくアプリを開発したのに全く使われないばかりか、むしろブランド価値を下げてしまっている、そうしたしくじり(失敗)アプリを作らないためにはどうしたらいいのだろうか。

 モバイルアプリのマーケティングツールを提供するReproは、世界59カ国、6000以上のアプリへの導入実績を持つ。「流行のアプリにはだいたい入っている」(Repro 代表取締役の平田祐介氏)という。最近では新サービスとしてウェブマーケティングツールの提供も始めている。

Repro 代表取締役の平田祐介氏
Repro 代表取締役の平田祐介氏

 ウェブとアプリのどちらに注力すべきか。「結論から言うと、どちらも重要だ」と平田氏は説明する。ただし、両者には明確な役割分担があるという。ウェブは新規顧客の獲得チャネルとして、アプリは既存顧客の継続(リテンション)チャネルとして有用だ。

 例えば、ウェブサイトは、GoogleやYahoo!をはじめとする検索サービスからの流入が大きな割合を占める場合が多い。具体的な企業や製品、サービスの名前を知らなくても、検索上位に表示されれば大きな集客効果が期待できる。「ウェブはコンバージョンが重要指数であり、感覚としては売り切りのイメージに近い」(平田氏)

 その一方で、アプリはサブスクリプションの利用モデルに近く、継続率(リテンション)が重要指数になるという。アプリの継続率が高い理由は、プッシュ通知の機能が充実している点にある。消費者の多くがスマートフォンから情報を受け取っている現在、操作画面にポップアップ表示されるプッシュ通知は、メールマガジンなどと比べて開封率が高い傾向にある。

 また、企業や製品、サービスのロゴがあしらわれたアプリアイコンが、端末のホーム画面といったいつも目に触れる場所に置かれることで、消費者のマインドシェアを高めることができる。「アプリは新規顧客を獲得するには難しいチャネルだが、既存顧客と繰り返しの関係を構築しやすい」と平田氏は話す。

しくじりアプリを作らないために

 Reproでは、これまで数多くのアプリマーケティングに携わってきた経験やノウハウから、失敗するアプリのパターンを3つに集約している。平田氏によると、名だたる大企業であってもアプリの開発に失敗し、ブランド力をうまく生かせず終わったケースも多々存在するという。

 1つ目は、アプリへの機能の詰め込み過ぎであり、最も陥りやすいパターンだという。成功するアプリは、「シンプル&単機能」(平田氏)が徹底されている。モバイルアプリは画面が小さく、多くのボタンをこまごまと配置してもユーザーに理解されない。何をするためのアプリか目的が明確でないため、使われることなくアンインストールされてしまう。

 「特に今の若い人は、アプリをインストールする際、そのサイズは写真何枚分に相当するかで判断する。ある意味、自分の思い出と天秤にかけているわけで、使えないアプリと分かったときのマイナスイメージもそれだけ大きい」(平田氏)

 機能の詰め込みはなぜ起きるのか。非IT系の企業の場合、アプリ開発を外部発注するのが一般的だ。社内の企画担当者がアプリの要件定義を進める段階で、全社から要望を吸い上げる。担当者はなるべく多くの要望に応えようと、さまざまな機能をアプリに盛り込む。開発会社は要件通りにアプリを開発する。開発会社は開発のプロだが、アプリを成長させるためのノウハウを持っていない。こうして、開発費用だけが掛かった、使われないアプリが生まれる。

 「アプリを使って何をやりたいかをしっかりと議論し、優先順位付けをすることが重要だ」と平田氏は指摘する。

 実際、FacebookやGoogleをはじめ、アプリで成功を収めている企業は、さまざまなサービスを単機能に切り出して提供している。その方がアプリの改修作業や運用保守もやりやすい。逆に、機能を詰め込み過ぎていると、問題の切り分けが正しくできず、迅速に対処できないという難点もある。

 2つ目のパターンは、わざわざアプリである必要性があるのかどうかだ。アプリ化のための判断基準は、習慣的に利用されるものかどうか、端末の機能(カメラやマイク、位置情報など)を使用するかどうかの2点になる。

 重要なのは、アプリやサービスの利用で習慣化が見込めるかを判定することだ。また、利用頻度の高いものでないと向いていない。例えば、メッセンジャーアプリなどはもはや日常の必需品といえるが、何かのきっかけでインストールして一度だけ起動して次にいつ使うか分からないようなアプリは問題だ。

 こうした条件に合わない場合は、無理にアプリ化するのではなく、ウェブで対応するのが妥当だと平田氏は述べる。ウェブ技術の方がエンジニアの数が多く、開発コストも安上がりだ。アプリに比べて利用のハードルも低い。

 最後のパターンは、既存事業と連携していないというものだ。自社の事業と関係のないアプリを開発すると失敗する。自社事業の販売促進や売上向上、集客施策になるような顧客接点としてアプリを活用すべきという。

 ここでも、複数の目的を選んではいけない、と平田氏は注意する。「目的を絞った上で、例えば、プロモーション用のアプリとはどういったものかというように議論を深めていく必要がある」

 アプリの成功事例として、宅配ピザチェーン店のDomino's Pizzaがある。同社は、顧客の購買履歴を分析することで、リピーターの多くが前回と同じトッピングのピザを注文していることを発見した。そこで、前回と全く同じ内容の注文を自動で繰り返すアプリを開発。常連客の注文処理を極限まで省略することで販売数を伸ばしたという。

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