Googleは米国時間3月6日、オープンソースの機械学習(ML)ライブラリ「TensorFlow」に関する一連の発表を行った。同ライブラリはこれまでに4100万回以上ダウンロードされている。同社はその利用可能性をさらに高めるために、「TensorFlow 2.0」のアルファ版をリリースした。この新バージョンはよりシンプルかつ直感的に利用できるとされている。
また同社はJavaScriptコミュニティー向けに「TensorFlow.js」のバージョン1.0も発表した。さらに、分散しているデータの活用を実現するアドオン「TensorFlow Federated」(TFF)とともに、より公正かつ安全な訓練に向けた「TensorFlow Privacy」の提供開始も発表した。
TensorFlow 2.0に関して、GoogleはAPIコンポーネントと「tf.keras」との統合性を高めることで、大半のユーザーに推奨される高次のAPIを作り上げようとしている。これにより、開発者はデータのインジェスチョン(データの取得/取り込み/加工)から変換、モデル構築、訓練、最終的な配備までをよりスムーズに行えるようになるはずだ。さらに、「TensorFlow Datasets」のローンチにより、開発者は一般的に利用可能な多くのデータセットをインポートできるようになる。
TensorFlow 2.0は、デフォルトで「Eager Execution」が有効化されている。このため、呼び出しと同時にTensorFlowの演算が開始される。また、この新バージョンではtf.functionによるEagerコードの自動最適化と、Pythonの直感的な制御フロー、エラーメッセージの改良も実装されている。
さらにGoogleはTFFをはじめとする新たなアドオンも発表した。オープンソースのフレームワークであるTFFにより、MLとその他の演算を用いた実験的作業を、分散しているデータをその生成場所に置いた状態で実施できるようになる。通常のMLモデルは、1カ所にデータをまとめることを求めているため、対象となるデータの機密性が高かったり、まとめるコストが高価となる場合に問題となる可能性もある。
また、TensorFlow Privacyというオープンソースのライブラリを用いることで、差分プライバシーという考え方に基づく技術を使用したMLモデルの訓練を容易に実施できるようになる。この技術によって、MLモデルが特定ユーザーに関する詳細を学習/記憶しないようにするうえでの強力な数学的保証が提供される。
そして、TensorFlow.jsのバージョン1.0によりJavaScriptコミュニティーに大きな進歩がもたらされる。例えば「MobileNet v1」のブラウザ上での推論処理は前年に比べると9倍高速になっている。また、ウェブ開発者向けとして、アプリケーションに組み込めたり、JavaScriptが実行できるより多くのプラットフォームをサポートできる、新しいオフザシェルフモデルも用意されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。