「私たちはお客さまと競合しない」――。記者会見でこう語った米Microsoft上級幹部に、筆者は質疑応答で「競合せず」と強調する意図を聞いた。今回の「一言もの申す」では、そのやりとりを記しておく。
Microsoft上級幹部が語った同社の「立ち位置」
「私たちが成功するかどうかは、お客さまの成功にかかっている。私たちのビジネスモデルのコアはまさしくこの点にある。そのためには、お客さまとの間で確固たる信頼に基づいた長期にわたるパートナーシップを築いていくことが重要だ」
Microsoftでグローバルセールス マーケティング&オペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントを務めるJean-Philippe Courtois(ジャンフィリップ・クルトワ)氏は、日本マイクロソフトが先ごろ同氏の来日を機に開いた記者会見でこう強調した(写真1)(関連記事)。
写真1:会見に臨むMicrosoft グローバルセールス マーケティング&オペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントのJean-Philippe Courtois氏
さらに、こうも述べた。
「私たちはお客さまと競合しない。競合する立場にない。このことは、Microsoftにとって非常に大きなアドバンテージとなっている。Microsoftは銀行や病院を開設しようとか、流通業に進出しようなどとは全く考えていない。お客さまがデジタル技術を駆使した銀行や病院を運営したり、流通業を展開したりするためのお手伝いをさせていただくことに徹しているのが、Microsoftの立ち位置だ」
この発言、新味があるわけではない。Courtois氏も、そして会見に同席した日本マイクロソフト 社長の平野拓也氏も、以前から述べていることだ。ただ、米国本社の上級幹部であるCourtois氏が会見で改めて同社の立ち位置を、わざわざ具体例まで出して、今このタイミングで強調したことに、筆者は違和感を抱いた。
そこで、会見の質疑応答で、その意図を聞いてみた。すると、Courtois氏は次のように答えた。