VMwareは米国時間3月4日、やや謎めいた発表を行った。そこには「VMwareは、ドイツのハンブルグ控訴裁判所が2月28日に、Hellwig氏の訴えを棄却した地方裁判所の判決を支持し、同氏の上訴を棄却するという決定を下したことに満足している」と記されている。これがどういう訴訟なのか、その概要を振り返ってみよう。
どのような訴訟なのか?Hellwig氏とは?
手短に言うと、VMwareは同社の旗艦製品であるベアメタル仮想マシン(VM)ハイパーバイザ「VMware ESX」がLinuxのコードを不正に使用しているとして訴えられていたのだった。
ことの発端は、Linuxの著名な開発者であるChristopher Hellwig氏が2006年8月にLinux Kernel Mailing List(LKML)上で、VMwareのエンジニアからのある支援の要請に対して「VMWare ESXにおける著作権違反行為をあなた方が是正するまで、何のサポートも提供できない。あなた方を訴えなくてもすむよう、あなた方のプロジェクトにおけるLinuxコードの不正使用を中止してもらいたい。あるいは、少なくともこの場から去り、著作権を侵害しているあなた方に対するサポートを期待しないようにしてもらいたい」と述べたことにある。
Hellwig氏はその後、「VMwareはLinuxカーネルのバージョン2.4を大々的に改変し、巨大なバイナリブロブを追加し、法的に再配布できないLinuxカーネルを派生させた」と付け加えた。
Hellwig氏をはじめとする人々は、VMwareの製品からLinuxコードを除去するか、LinuxのGNU General Public License version 2(GPLv2)に準拠したかたちで製品をオープンソース化するよう、同社の説得を試みた。そして2011年、オープンソースソフトウェアの推進を目的とする非営利団体Software Freedom Conservancy(SFC)は、VMwareがLinuxや、Linuxに組み込まれている一般的なツールキットである「BusyBox」のソースコードに対するライセンス条件に準拠できていないことを把握した。
SFCは、VMwareがESXと、その後継製品である「VMware ESXi」のソースコードの公開に同意したと主張している。VMwareがこれを実行に移していれば、問題は解決され、ESXファミリはGPLv2に準拠するようになっていたはずだ。しかし同社は2014年にこれを拒んだ。