中小企業の認識不足が浮き彫りになった損保協会のセキュリティ調査 - (page 2)

松岡功

2019-04-04 07:00

サイバー保険の加入状況は50人未満の企業で4.9%

 4つ目は、サイバー保険の認知状況について。企業全体では、「よく知っている」との回答が7.7%、「ある程度知っている」が17.9%、「名前だけ知っている」が31.7%、「知らない」が42.3%となっており、サイバー保険の内容まで含めた認知度は未だ低い状況だ。

 従業員数別でみると、50人未満の企業では、「よく知っている」との回答が1.6%、「ある程度知っている」が10.4%に留まり、企業規模が小さいほど、認知度が低い傾向がある。

 5つ目は、サイバー保険の加入状況について。結果は図3のように、企業全体での加入率は12%、検討実績のある企業の割合と合わせても25%程度となっている。

図3:サイバー保険の加入状況(出典:日本損害保険協会)
図3:サイバー保険の加入状況(出典:日本損害保険協会)

 従業員数別にみると、50人未満の企業の加入率は4.9%となっており、サイバーリスクへの備えとしてのサイバー保険の活用は、まだ進んでいない状況だ。

 なお、サイバー保険とは、サイバー事故により企業に生じた第三者に対する損害賠償責任のほか、事故時に必要となる費用や自社の喪失利益を包括的に補償する保険だ。保険会社によっては、関連する付帯サービス(情報セキュリティ診断サービスなど)を提供している場合があるという。

 この調査結果では、サイバーセキュリティへの意識や対策において、とくに中小企業の認識不足が浮き彫りになった。この分野の専門家が、「企業は結局、一度痛い思いをしないと、サイバーセキュリティの怖さはわからない」と言っていたが、できるだけ多くの企業がそうならないように警鐘を鳴らし続けたい。

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