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企業セキュリティの歩き方

東京五輪後の日本のIT世界--リスクを感じられない日本企業

武田一城 (ラック)

2019-05-08 06:00

 本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティー業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。

  前回、2020年の東京五輪のようなビッグイベント後には、1964年の東京五輪後の「昭和40年不況」と呼ばれたような反動不況があるだろうという仮説が、意外にもこの四半世紀ほどの夏季五輪開催国にはほとんど当てはまらなかったことを述べた。その経緯を書いていたらセキュリティーの内容に触れられなかったので、今回は、その状況を踏まえて東京五輪後にITおよびセキュリティー分野における影響などを考察していきたい。

東京五輪で高まるサイバー攻撃のリスク

 現在の日本は、高度経済成長期やここ10~20年の中国のような高い成長率はとても望めない。統計上は戦後最大の景気拡大だが、国内総生産(GDP)成長率は1%台とギリギリでマイナス成長に陥っていないだけの状況だ。少なくとも1964年の東京五輪ごろのような10%を超える高度成長とは比べようもない。

 前回の記事で述べたように、五輪とは全く別の大きな景気減速要因がない限り不況や恐慌に陥る可能性は小さいながらも、日本の人口は既に減少しており、今回の五輪後に半世紀前の高度経済成長期のようには、ならないだろう。それでも、みずほ総合研究所の試算によると30兆円(直接効果:約2兆円、付随効果:約28兆円)とも言われる経済効果はあるとされる。この慶事効果がこのイベント限りのコストで終わるか、今後の成長につながるかの大きな分水嶺になるだろう。やはり、この五輪の成否が日本の将来を占うことになるかもしれない。

 国際的なビッグイベントは、ファンやメディア、開催国、企業にとって非常に魅力的だが、それはサイバー攻撃をする犯罪者にとっても同様で、彼らが目的を効果的に達成するための絶好の機会となる。つまり、2020年の東京五輪によって、日本のサイバー攻撃のリスクは少なからず高まっている。2016年のリオデジャネイロ五輪や2018年の平昌冬季五輪でも、高度なサイバー攻撃やインターネットを使った詐欺行為などによる被害が観測されている。東京五輪開催まであと1年ほどだが、大きな被害が発生(場合によっては、イベント自体が失敗)するのかは、対策にかかっていると言えるだろう。

 このことは政府も十分に認識していて、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を中心に、民間企業の人材なども取り込みながら対策が実施されている。リスクアセスメントが複数回実施されており、2018年度末には「サイバーセキュリティ対処調整センター(政府オリパラCSIRT)」という組織を整備するとされた。情報共有・事案発生時の体制を関係府省庁、大会組織委員会、東京都などと協議し、運営を検討しているという。

 また、2019年度からの取り組みとして、「要員の訓練、情報共有システムユーザーに対する操作訓練、情報共有訓練およびインシデント発生時の対処調整訓練を実施。大会直前まで重要サービス事業者などが参加する訓練・演習を繰り返し、大会関係組織間で緊密に連絡調整を図るための態勢を整備する。大会までの大規模イベントであるG20、ラグビーワールドカップなどにおいて情報共有体制の試験運用を実施予定」とあり、既に政府内部では具体的な対策が進んでいると思われる。

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