日本マイクソロフトは、コラボレーションデバイス「Surface Hub 2S」の受注を5月10日に開始した。8月末から9月にかけて出荷することになる。来日した米Microsoft コーポレートバイスプレジデント兼チーフプロダクトオフィサーのPanos Panay氏に、Surface Hub 2Sの特徴などを聞いた。
Microsoft コーポレートバイスプレジデント兼チーフプロダクトオフィサーPanos Panay氏
Panay氏は、「Surface Hub 2Sは、革新的な製品であり、これによって、世界中の人がつながることできる。日本市場が先行している働き方改革をサポートするものになる。日本の企業からの需要が高い製品になる」などとした。また、日本でのSurfaceビジネスが、前年比50%という意欲的な計画を上回る形で推移していることを示した。
Surface Hub 2Sは、従来モデルと比較して60%の薄型化、40%の軽量化を実現したほか、15.5ミリの薄型ベゼルによって高いデザイン性も実現したのが特徴だ。ディスプレイには4K+(3840×2560画素)の50型マルチタッチディスプレイを採用。人の声を忠実に再現することができるスピーカーや、4Kの高解像度を持ったカメラ、ノイズキャンセリング機能を搭載したマイクロフォンなどを搭載することで、社外で働いているリモートワーカーがPCで接続しても、会議室のメンバーがすぐそこにいるかのような臨場感で会議ができるという。
同社では、「社外で働くリモートワーカーが、いつどこにいても、オフィス内で働いているのと同等の生産性や創造性を発揮し、他のメンバーとコラボレーションを発揮できる環境を整えることが、企業のデジタルトランスフォーメーションや働き方改革を推進する上で重要になっている。それをサポートするために、ビジネスを推進する個々のチームが生産性や創造性をより発揮できるよう開発された大画面コラボレーションデバイスが、Surface Hub 2Sになる」(Panay氏)としている。
Surface Hub 2Sでは、スタンドやモバイルバッテリーなどのアクセサリーを組み合わせることで、電源を落とすことなく、部屋を移動することができるため、そのままディスカッションを継続できたり、クラウドに情報をアップして、議事録を作成することなく、会議の内容を確認できる機能なども提供できるという。Surface Hub 2Sの価格は99万9800円となる。
Panay氏は、「飛行機の中やカフェ、バーにおいても仕事ができる環境が生まれており、オフィスの中でもさまざまな場所で仕事ができるようになっている。その環境をさらに促進できるようにするのが、Surface Hub 2Sだ。Office 365やデジタルホワイトボードアプリのMicrosoft Whiteboard、グループをつなぐことができるMicrosoft Teamsなどを自然に使えるよう設計されており、公園や家などにいても、離れている人が、まるで横に並んでいるかのようにして会議ができる。また、世界中と密接につながりながら、ホワイトボードを使った議論をスムーズに行える。そして、教育分野での利用においても最適な製品になっている。日本における需要が高く、いまから製品が安定的に提供できるか心配である。早いうちに注文してほしい」などした。
Surface Hub 2Sのイメージ(出典:Microsoft)
一方、日本におけるSurfaceの販売が好調であることに言及した。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、2019年度(2019年6月期)におけるSurfaceのビジネスを前年比50%増に成長させるとしてきたが、それよりも高い成長を遂げているとしており、計画を上回る実績になっていることに触れ、「日本での成功を誇りに思っている。そして、日本での成功は、他の国の先行指標になる」(Panay氏)
また、「日本でSurfaceが高い人気を誇っているのは、Surfaceが働き方改革に最適なデバイスであるからだ。来日してから、六本木のスターバックスやレストランに行ったが、日本人は、あらゆる場所で、あるゆる年齢層の人が、食事やコーヒーを楽しみながら、仕事をしている。こうしたことが、日本のあちこちで起きている。働き方改革は、日本における重要なテーマであり、同時に働き方改革が先行しているのが日本だ」とした。
三井不動産リアリティが1000台以上のSurfaceを導入していることにも触れながら、「Surface GoやSurface Pro、Surface Laptop、Surface Book、そして、Surface Hubなど、さまざまな製品によって、学生や建築家を含めて、日本の多様なニーズに対応でき、働き方やライフスタイルを変えることができる。ラインアップをそろえることで、モバイル性や多機能性、パワーなどといったさまざまなメリットを提供できる。そして、デザインの美しさも評価されている。Surfaceに選択肢があることは大きな強みである。その結果、Surfaceは業界の中で、最も顧客満足度が高い製品の一つになっている」(Panay氏)と強調した。
さらにSurfaceシリーズは、日本のユーザーの声を反映したモノづくりを進めている点にも言及している。中でも「Surface Go」は、日本からのフィードバックを反映することで、小型、軽量化を図り、フルキーボードを実現しながらも、持ち運び利用に最適化した製品だという。LTEの搭載に関しても日本では関心が高く、モバイルでの利用が促進されている。「これは他の国についても重要な要素になってくるだろう」とし、「日本の市場は、先進的であり、イノベーティブであり、変化が激しい。だからこそ、日本のユーザーの声を聞かなくてはならない」(Panay氏)と述べた。
また、「私の仕事は、テクノロジーを活用して時間と場所に捉われない新しいワークスタイルの広がりや、無限に広がるチームワークをサポートし、従業員の生産性や創造性を向上させるツールを提供することにある。さまざまな業種のオフィスワーカーや建築家のような専門家、そして、学生もサポートすることになる。全てのワーカーが向かう新たな働き方の方向をサポートする。Surfaceの当初の目的は、市場の成長をドライブすることが目的だったが、第2段階はテクノロジーを成長させ、ハードとソフトを一つにして製品をデザインすることができる。ODMパートナーにとっても、それは参考になり、業界全体にとってもプラスになる」とした。
最後に、「今でも強いラインアップをそろえているが、さらにときめきを感じてもらえる製品を用意したい。現時点で新製品の詳細は話せないが、今後も新たなイノベーションを作ることができる製品を投入し続けていく」などと述べている。