OracleとMicrosoftは米国時間6月5日、「Oracle Cloud」と「Microsoft Azure」の直接的な相互接続を実現するという新たな提携を発表した。
提供:ZDNet.com
OracleはOracle Cloudにより、主にSaaSおよびDaaSを提供している。一方MicrosoftはAzureにより、企業の操業に必要なIaaSからPaaS、SaaSに至るまでのスタックを提供している。
今回の提携により、両社共通の顧客はAzureとOracle Cloudを横断してワークロードをシームレスに処理できるようになる。これにより、Azureのアナリティクスや人工知能(AI)といったサービスを「Oracle Autonomous Database」のようなOracle Cloudサービスに接続することも可能になる。
「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を担当するエグゼクティブバイスプレジデントであるDon Johnson氏は声明で、「Oracle Cloudは、セールスやサービス、マーケティング、人材管理、財務、サプライチェーン、製造向けの統合されたアプリケーション一式に加えて、Oracle Autonomous Databaseを搭載した極めて自律的かつセキュアな『Generation 2 Cloud(Gen2 Cloud)』インフラを提供している」と述べたうえで、「OracleとMicrosoftは何十年にもわたってエンタープライズ顧客のニーズに応えてきた。今回の提携によりわれわれの共同顧客は、既存アプリケーション全体を、そのアーキテクチャーを設計し直したり、これまでの投資の多くを無駄にしたりすることなく、クラウドに移行できるようになる」と述べている。
企業環境内における、Oracle Cloud上で動作するOracleのソフトウェアと、Azure上で動作するMicrosoftのソフトウェアの相互運用性に加えて、両社はAzure上で「Oracle E-Business Suite」や「Oracle JD Edwards」を稼働させるという新たなシナリオを挙げている。これはOracle Cloud内の「Oracle Exadata」インフラ上でOracle Autonomous Databaseを稼働させるという既存シナリオに相当している。さらに両社の共同顧客は、シングルサインオンを利用できるようになる。これは簡便性という点で大きなメリットとなるはずだ。
テクノロジーアナリストのPatrick Moorhead氏によると、今回の提携における一番の勝者はAzureだという。
同氏によると、「Oracleはクラウド製品の展開に苦戦してきており、Oracleのデータベースやアプリケーションから離れていく一部の顧客層をAzureとの提携によって引き止めたいと考えている」という。そして同氏は、「Oracleは、同社のインフラが高価であり、スケーラビリティーが十分ではなく、技術的にも追随できていなかったという顧客の不満を減らせるだろう。Oracleはこれまで、ワークロードをOCI上ではなく、Azure上で実行している顧客に対して追加ライセンス料金を求めていたが、今後はそうならない。顧客は現在のOracleライセンスを現行レートのままAzureに移行できるようになる」と続けた。
現時点で直接相互接続が可能なのはAzureの米国東部リージョンだが、将来、他のリージョンに拡張する計画もあるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。