われわれはみな、日常的にオープンソースソフトウェアを使っている。自分は使っていない?Googleを使ったり、Netflixで番組を見たり、Facebookで知り合いの投稿に「いいね」したりしたことはないだろうか?もしいずれかに当てはまれば、あなたは立派なオープンソースユーザーだ。
しかし確かに、エンドユーザー向けのオープンソースソフトウェアを日常的に使っている人はあまりいない。それは世界屈指の研究機関であるCERNのスタッフでも同じだ。CERNが持つ世界最大の加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)はオープンソースで動いているが、スタッフのデスクトップでは、世界中の多くのユーザーと同じように、Microsoftのソフトウェアが使われている。しかし、その状況は変わりつつある。
CERNは1年前に「Microsoft Alternatives」(MAlt)プロジェクトをスタートさせた。このプロジェクト名は、「Microsoft製品を代替するソフトウェア」を意味している。
CERNがMicrosoft製品を排除しようとしている理由は非常に平凡で、経費削減のためだ。
CERNのソフトウェアエンジニアIban Eguia氏は、次のようにツイートしている。「@CERNでは、@Microsoftの製品を使わないようにしていく。これは、われわれの研究室にとってはライセンス費用が高くなりすぎたためだ。われわれは今後、できるだけオープンソースソフトウェアを使うようにする。:)」
CERNのシステムアナリストEmmanuel Ormancey氏は、ユーザー単位の料金体系になっている商用ソフトウェアライセンス料は、CERNが支払える水準の価格ではないと説明している。CERNが何十年もの間Microsoftのソフトウェアを使ってこられたのは、「学術機関向け」の価格だったからだという。しかし、良いことにもいつかは終わりが来る。Microsoftは最近、CERNの学術機関としての認定を取り消し、従来の契約をユーザー数に基づいて料金が決まる契約に切り替えた。これによって、「ライセンス費用は従来の10倍以上になっている。CERNは適応に必要な時間を稼ぐために10年以上にわたって利用料の上昇を切り抜けてきたが、これほどの費用を維持することは不可能だ」と同氏は述べている。
そのため、CERNはMicrosoft Alternativesプロジェクトをスタートさせた。その最初の目標は「(Microsoftやその他の)商用ソフトウェアからオープンソースソフトウェアへの移行について調査し、CERNが長期間維持できない取引条件のリスクを最小化すること」だ。