RPAはブラウザ経由で利用できるSaaS型も市場に展開している。ウェブ上のデータ収集やリサーチ、Excel、CSV、Google Spreadsheet、その他SaaSへの入力などを実行できるロボットが作成できる。
オンプレミス型に必要なインストールや環境構築が不要。インターネット環境があれば外部からログインできるなどがメリットになっている。ここでは2つの国産ツールを紹介する。
3.「Robotic Crowd」--自社開発のSaaS型
2014年に創業、システム開発やマーケティングのコンサルティングなどを中心に展開してきたというチュートリアル(千代田区)が紹介するクラウドRPAは「Robotic Crowd」。RPAの需要の高まりを感じての自社開発ツールになるという。
当時日本で展開がなかったUiPathを本国のルーマニアから買い付けて大手通信事業者へ導入するなど、多くの関連の実績を積み上げたという同社。最高執行責任者(COO)を務める岡秀明氏は「安価だがスケーラビリティやセキュリティ対策などの面で不安を抱えるデスクトップ型か、高価で導入障壁が高いサーバー型という2択しかなかった」と当時の市場を振り返る。
2018年10月に正式にリリース。ロボットのワークフローはドラッグ&ドロップで設定でき、専門知識は不要だという。バックエンド処理ができ、PC画面消灯、スクリーンセーバー起動時などでも作業可能。複数ユーザーでのログイン、別々のユーザーでの同一環境の共有もできるという。
「小規模導入しやすく、直感的ですぐに使えるなどが特長。上場したスタートアップ企業など、IT企業への導入が多い。操作性や簡単さを重視するあまり機能が犠牲になるツールもあるが、多機能な点も評価されており、両立できている点が最大の魅力」(岡氏)
導入企業例(出典:チュートリアル)
推奨ブラウザはGoogle Chrome、税別月額利用料金は10万円から。ロボットの実行回数や時間制限はなく、2台まで同時に動かせるという。同時ログインユーザー数は5人まで。
4.「BizteX cobit」--“日本初”のクラウドRPA
BizteX(渋谷区)の「BizteX cobit」もクラウドRPAの一つだ。ユーザーアカウントの発行数に制限がなく、社内全体で利用できるという。
サービス開始は2017年7月。創業者で代表取締役の嶋田光敏氏の「Chrome経由でRPAが活用できれば幅が広がる」という着想から生まれた、日本初のクラウドRPAになるという。
同社のマーケティングチームで広報ディレクターを務める大家純子氏は「リテラシーが低い方でも使いやすいように設定している」と特長を説明。わかりやすいユーザーインターフェス(UI)を目指し、グッドデザイン賞も受賞したという。
導入効果として紹介
導入企業には広告や人材サービス業が多いが、他の業種にも幅広く浸透しているという。頻発するダウンロード作業、何通ものスカウトメールの送信など、ウェブ経由のルーチン作業への活用が多いと説明。「多くの企業でクラウド化が進み、SaaSを使う企業が増えた。“ツールだらけ”になってしまっている企業や業務もあり、ツールとツールをつなぐという活用方法も多い」(大家氏)
税別月額利用料金はロボットの業務作業となる“ステップ数”で分類。最小となる稼働ステップ数10万までのエントリープランは10万円、初期費用は別途30万円。
料金プラン(出典:BizteX)