(編集部注:当記事は7月10日付で掲載した「IBM、レッドハットの買収を完了」に未翻訳部分を追加したものです)
IBMが、Red Hatの買収を完了した。買収額は340億ドル(約3兆7000億円)だ。Red Hatは独立性を保った状態で、革新的なハイブリッドクラウドスタックをもたらしつつ成長していくことになる。買収が完了したことで、IBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏はRed Hatの買収という大きな決断に見合う成果に向けてまい進していくことになる。
両社の顧客にとって、次なる大きなマイルストーンは、法人市場においてVMwareと競合する可能性が高い、ハイブリッドクラウドの統合に向けたロードマップとなる。またIBMは、Red Hatの中立性維持とオープンソースへの注力、現在のマネジメントおよびCEOのJim Whitehurst氏による組織運営の継続を約束している。
IBMの狙いは、同社の規模によってRed Hatの成長を加速させるとともに、同社のクラウド部門を強化することだ。
Rometty氏は、IBMとRed Hatが複数のベンダーやクラウド、システムを含む、クラウドの次なる段階に向けた好位置につけていると述べている。また、Rometty氏の直属となるWhitehurst氏は、オープンソーステクノロジーをエンタープライズにおけるデファクトスタンダードにするための規模のメリットがRed Hatにもたらされると述べている。
IBMのRed Hat買収が完了したところで、これに関して今後注目すべき点を挙げてみよう。
Red Hatは成長を続けられるか?IBMの成長に貢献できるか?IBMのクラウド事業の売上高は、2018年のランレートで190億ドルであり、同社の全売上の約25%を占めているが、それと比較するとRed Hatの売上高は小さく、2019会計年度は前年比15%増の34億ドルだった。IBMはRed Hatのソフトウェアを統合して販売する量を増やすことも可能だが、この2社はもともと昔からのパートナー企業だ。Red Hatは5年間にわたってIBMに2ポイントの年平均成長率をもたらすはずだとIBMは述べている。同社は明らかに、それらの期待を上回ることを望んでいる。
EvercoreのアナリストAmit Daryanasi氏は、ある調査ノートで、最初はRed Hatの買収がIBMの成長率を大きく押し上げることはないと述べている。これは、すぐには同社の前受収益を計上できないからだという。