三井不動産、基幹系システムをフルクラウド化--年間約5万8000時間の削減見込み

ZDNET Japan Staff

2019-07-11 15:55

 三井不動産は7月11日、決裁・会計業務を⽀える基幹系システムのフルクラウド化を完了したと発表した。2016年9⽉にプロジェクトを始め、2019年4⽉に新システムを導入した。ITインフラにはパブリッククラウド「Microsoft Azure」とマネージドクラウド「SAP HANA Enterprise Cloud」を活用する。

 新たな基幹系システムは、NTTデータイントラマートのPaaS「intra-mart」と統合基幹業務システム(ERP)パッケージの「SAP S/4HANA」で構築。経費精算機能にはコンカーの経費精算・経費管理SaaS「Concur Expense」とクラビスのクラウド記帳サービス「STREAMED」を採⽤した。

基幹系システムの新旧を比較(出典:三井不動産)
基幹系システムの新旧を比較(出典:三井不動産)

 2016年9⽉にITイノベーション部を中⼼とした経理部、総務部、各事業部の事務担当者を含む、80人の部⾨横断型のプロジェクトチームを発⾜。標準化・効率化の観点で⼀から業務プロセスの⾒直しを実施した。

 例えば、これまで部⾨ごとに異なる業務プロセスにより、契約書類や請求書、経費精算書、膨⼤な帳簿書類を従業員が⼿⼊⼒・紙出⼒・押印・回覧していた。今回、各種プロジェクトの決裁書・契約書管理、⽀払・⼊⾦予定を全てシステム上で⼀覧化し、部⾨固有だった管理⽅法を統⼀した。また、今後の事業拡⼤に対応できるよう、会計システムを導⼊してから初めて抜本的に勘定科⽬体系を⾒直し、スリム化した。

 さらに、決裁書に必要な記載項⽬をあらかじめフォーマット化し、決裁書に記載した相⼿先・⾦額・業務期間などのデータを押印申請、⽀払・⼊⾦予定、伝票計上などの会計業務まで連動させることで多重⼊⼒を廃⽌。ミスの削減とチェック時間の短縮を図った。経費精算にクラウドサービスを活⽤することで、読み取った領収書や交通系ICカードのデータが自動で連携され、申請作業が効率化された。

 従来は紙に押印して回覧していた決裁も電⼦化した。各種書類への押印や⽀払のワークフローも電⼦化することで年間約84万枚分の紙資料が不要となる⾒通し。印刷・郵送・保管コストの削減と、書類管理・運⽤に伴う負荷軽減が期待されている。

 全社業務の標準化と効率化、データ多重⼊⼒の廃⽌、ワークフローの電⼦化などによって、年間約5万8000時間の業務量が削減される⾒通しとなっている。2019年6⽉にはモバイル承認機能も追加され、⾃席でなくても業務が容易となり、働く場所を問わないモバイルワークの促進につながっているという。

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