「single version of the truth」(唯一の真実)と定義されるブロックチェーンは、不変かつセキュアなタイムスタンプ付きの台帳を複数の参加者が保持することで実現されている。このため、ブロックチェーンは金融サービスやヘルスケア、政府関連といった、確立された業界での応用が考えられる。
またブロックチェーンは、シェアリングエコノミーと呼ばれる新たなビジネス分野でも役割を果たす可能性がある。急速に伸びつつあるこのビジネスモデルは個人間での商品やサービスの入手や提供、共有利用と定義されており、コミュニティーベースのオンラインプラットフォーム上で実現されている場合が多い。
シェアリングエコノミーに基づくサービスを提供している有名企業の例として、空いている部屋やアパート、家の所有者と、間借り人や旅行者を結びつけるプラットフォームを用いて短期滞在先を提供するAirbnbや、モバイルアプリを用いることで、タクシー会社に所属していない最寄りのドライバーとやり取りできる輸送サービスを提供しているUberが挙げられる。
ブロックチェーンとシェアリングエコノミー、その基本
ブロックチェーンがシェアリングエコノミーにおいて重要な役割を果たすかどうかについては議論の余地がある。すべてが過大評価されており、ブロックチェーンの役割はあったとしてもわずかなものにとどまるという懐疑派もいる。しかし、支持者らはブロックチェーンとシェアリングエコノミーのサービスがうってつけの組み合わせだと主張している。
ブロックチェーンテクノロジーの研究や開発を支持する専門家や賛同者で構成されるBlockchain Councilによると、UberやAirbnbといった企業はユーザーが自社ネットワークに価値をもたらしてくれることを前提にしているという。
Blockchain Councilは「(UberやAirbnbが前提にしている)このモデルの問題は、生み出された収益が、コンテンツの生成に貢献した全員に適正に配分されないところにある」とする一方で、「Ethereum」のようなブロックチェーンアプリケーションが、スマートコントラクトとしてのセキュアかつ分散されたかたちでのソフトウェア配備を可能にしているのは、中央集権的な要素を排したブロックチェーンの性質ゆえなのだと述べている。
さらに、Blockchain Councilは「これにより、ブロックチェーンを実装したソフトウェアは、巨額の収益をもたらすプラットフォームを稼働させるための大規模データセンターに依存しなくても済むようになる。そして既に、分散化と、ユーザーに対するより公平な報酬という原則に基づいて動作する『Steemit』のようなブロックチェーンベースのプラットフォームが登場している」と述べている。